【九州2021】冬の大型『寒チヌ』攻略法 70cm級も夢じゃない?

【九州2021】冬の大型『寒チヌ』攻略法 70cm級も夢じゃない?

透明感の増す海中から海面へと浮上するチヌの舞いは、大型であればあるほど、ゆっくり首の一振りにも重みがあり、迫力感が増す。さあ、出かけよう。寒さを耐え抜いた先にある感動を求めて。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版 APC・南健一)

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堤防釣り 海釣り

冬の大型「寒チヌ」に挑む

1月、2月と寒さも本格的な厳寒期に入り、釣り人にとって寒さに耐え抜く試練の釣りが余儀なくされる。北西風が吹き荒れ、風裏を求めて右往左往するだろう。風裏の釣りとはいえ、山から吹き降ろす風は、尾根づたいに右から左、前、後ろから回り込んで瞬時に襲って来る。かじかむ手でサオを操り、耐え抜いた先に見えるのが感動のシーンであろう。

チヌはどこにでもいる。釣り人の対象魚として親しまれてきた。遠く昔から海のタンパク源が少なかった時代、人里近くにすむチヌは人間たちの貴重なタンパク源となりながらも繁殖力が強いから今まで生き残ってきたのであろう。

【九州2021】冬の大型『寒チヌ』攻略法 70cm級も夢じゃない?48.5cm頭に良型を披露(提供:週刊つりニュース西部版 APC・南健一)

姿かたちはいかにも精悍さがあり、メイタでさえ釣り上げた時の背ビレをピーンと張った、いかにも魚らしい姿勢は華麗で釣り人を魅了する。銀鱗の輝きに取りつかれて今のチヌ釣りの面白さがある。

だいたい50cmくらいでいったん成長が止まり(あくまでも私見だが)、その中で縄張り意識を持ち、ボスみたいな図太く、賢く生き抜いたものが60cm、70cmと成長していき、釣り人が追い求める巨チヌへと成長を遂げていくのであろう。

習性を知ることが突破口に

チヌ釣りの極限である巨チヌ。男の夢であり、浪漫だ。その巨チヌとの対面を成し遂げた時の感動はひとしおであろう。釣り人の最初は同行してくれる先輩たちからアドバイスをもらい、体験しながら徐々に成長していく。チャンスがあれば自分のものとして、大型を狙う場合はこの仕掛けでいくと決めて釣り場を1か所に貫き通して頑固一徹で達成したならば喜びへと変わるだろう。

釣りはまず潮の動きだ。ひたひたと入ってくる潮。その場所によって潮の動きは違う。やはりどちらかに動いたときにアタリがでる。水深12mの場所で上潮が動いても底潮の動きが違う二枚潮の時。水深が12mもあれば底潮が動いていると考えなければならない。

まきエサを打っても水深が深ければまきエサが上と下でどう動き流れているか分からないと思う。寒チヌのタナ取り、底這わせが命だ。そう動いてくれないチヌ。つけエサは口の周辺に届けるくらいの底這わせで、まきエサが底周辺に効き始めるまで時間がある程度必要となろう。

水温上昇が狙い目

最も海水温が低い厳寒期に入るとチヌの動きが鈍り、冬眠状態に入る。水深のある大きな岩礁のくぼみや、チヌが耐えられる一定温度の変化しにくい場所に集団ですみ着き、上げ潮や下げ潮時の海水温が違って緩む時間帯に生活拠点から少し動いて就餌活動をする。

日中の太陽の光が差し込み、海水温度が少し緩んだときに浅瀬に動く気配を見せ、夕マヅメのナギ、ウキがいかにも入りそうな雰囲気。いくつもの条件がかみ合った時、チヌが腹を空かせて活発に活動をする動きを見せた時、就餌活動を行う。その時が釣り人の絶好のチャンス。

釣り始めのころ、私の師匠から各地へ連れていってもらった。最初は長崎・平戸上部の大バエ、一のハエから五のハエ、鯨島、生月、長瀬一帯。チヌは磯しかいないと思っていた。そんな考えから経験を積んで10年くらい過ぎると仲間が増えてあらゆる場所でチヌ釣りができることが分かってきた。

【九州2021】冬の大型『寒チヌ』攻略法 70cm級も夢じゃない?アタれば良型が楽しみな時期(提供:週刊つりニュース西部版 APC・南健一)

初心にかえり、チヌの習性、すむ環境、仕掛け、狙いめを紐解いていった。今からの時期、チヌは動きが鈍く、口をなかなか使わない。潮の緩やかな場所を選ぶ。リアス式の奥深く入り込んだ深場の水温が安定した波止の内側。外海からウネリが入りにくい波穏やかで水深があり、チヌの越冬場所として最適だ。チヌがとどまりやすく、そこを拠点に日中の水温が緩む時間帯に動きをみせる。

タナはベタ底が基本

水温の上昇で活発に動きを見せる夏から秋にかけては波気があった方が仕掛けが動き、反応の良い場合もあるが、冬期から春期にかけては動くエサには反応しにくく、落ち着いて食べられるものに反応が良くなるため、仕掛けを這わせるのも効果的。アタリは小さく、チョンアタリで掛け損なう可能性があるので、食い込みの良い繊細なアタリが取れる棒ウキや感度のよい円錐ウキがよい。

主食は釣り場によって違うが冬から春先にかけて硬いものは好まないのでオキアミを加工したもの、むきエビなどいろいろな準備をすることで安心して釣りができる。

まきエサもアミ2角主体に集魚材、ムギを手でこねて練り込む。粘りと重さがあるまきエサで深場に一気に煙幕を広げながら沈ませる。ムギは多く入れすぎると海面から落ちていく視認性は良く、チヌへのアピールには良いが、チヌが海底に落ちたムギを拾う反応を示し始めるとつけエサに反応しなくなる。あくまでもまきエサはチヌを寄せるだけのもので、つけエサを確実に食わせなくてはならない。

「キンク」は大型の兆し?

海底の障害物、沈瀬周りのくぼみ、カケアガリがある河口や海水と淡水が混じる汽水域。ウキに反応がないが、ハリのチモトにできたキンク(ヨレ、曲がり)はチヌ特有の食い方で起きるラインがヨレる現象で、冬から春先にかけて食いが落ちた時、口先だけで食って吐くを繰り返すことでこのヨレができる。

特に仕掛けを這わせている時に起こりやすく、そのキンクが長いほど口が大きいということが予測されるから、大型のチヌが口を使ったという可能性も否定できない。まきエサはチヌを寄せるためだけの手段で食わせるのはつけエサ。この基本はどの釣りでも共通する大切なこと。

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