伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「宙のバラケに必要なこと」。重要なのは目的に合ったエサの選定だ。何が必要で何が不必要なのか。逆説から進めば必要なエサが見えてくるはずだ。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)
「逆説」で考えれば簡単
ところで今回のテーマは、とても漠然としていて具体的なイメージが湧きづらいですよね。バラケに必要なことなんて。まあ言葉を考えたのは記者である私ですけど。
「そうだね、では逆説(逆の解釈)をしたらどうだろう。たとえば、バラケに不必要なこと。つまり消去法で考えてみれば、必然的に必要なことがイメージできるでしょう」
なるほど。それはいい考えですね。でもそれって季節や時間、釣り場や釣り方によっても変化するのでは?
「だよね。だから何か具体例を挙げて考えてみよう。たとえば今回の実釣取材場所である横利根川で、しかも冬の宙釣り。こういうテーマを設定したらどうなるかな」
なるほど。野釣りである以上、寄せることが必要ですよね。逆に言えば寄せられないバラケはダメ。
「そういうことになるよね。では、寄せられるバラケって何?」
ボソ系ですよね。あとは集魚成分が入っていること。
「では、寄せられないバラケって何?」
それをあえて表現しようとすると……、意外と難しいですね。
「だよね。でも、あえて言うと?」
うーん、練り込んだエサとか、集魚成分が入っていないエサ?
「でもこれから横利根川で釣りをしようという人が、そんなエサを使うかなぁ」
使わないですね。あくまで机上の空論になってしまいます。
「だよね。ではこう考えたらどうかな。たとえばバラけすぎるタッチ、重すぎるバラケ」
なるほど、それなら理解しやすいですね。流れがある横利根川で前者のようなバラケを使えば、食わせとのリンクが難しくなる可能性があります。また後者ではアピール不足に陥る可能性がある。つまりは反応が悪くなるかもしれませんね。
「ほら、答えが出てきたよ。つまりは釣り場の条件がどうなのか。またその日の気象条件とか。それらを加味して考えていけば、必然的にやってはいけないことが明確になってくる。それをバラケに対してあてはめればいい。あえて言葉にするから難しくなってしまうけど、じつはやらなければならないことと、やってはダメなことは表裏一体なんだよ」
エサと仕掛けの役割を整理
なるほど、では整理してみます。横利根川ではまず、広大な流域のなかから魚を寄せなければならない。だからバラケは寄せ効果が高い銘柄を中心に使う。ただしタナ規定はないから、エサの重さに関してはあまり重要視することはない。むしろ流れがあるぶんエサ持ちが悪くなるから、開きを抑えるタッチの銘柄も何割かは必要になる。そのような感じでしょうか?
「そういうこと。あと忘れちゃいけないのが、今考えたことをフォローしてくれるセッティングだよね。バラケだけに頼らず、仕掛けもそれに合わせる。そうすれば相乗効果が得られて、目的を達成しやすい」
なるほど、たしかにそうですね。仕掛けのことを忘れてました。
「バラけさせることはたしかに必要なこと。だけど流れがあると、どうバラけさせるかが難しくなる。また流れがない時もあるからね、それにジャミもいる。ただ横利根川の宙釣りではグルテンセットが主流だから、上バリにバラケをしっかり抱いたままのほうがアタリが出やすい。ならばバラけさせるだけなく、まとまり感もだせるエサをブレンドしておいたほうがいいと」
バラけるエサを多少練っても、まとまり感はでますよね?
「たしかにそうだけど、エサの粒子を潰してしまうほど練るのはよくない。なぜなら野釣りでは必須のボソ感がなくなってしまうからね。だったらはじめからまとまりを出せるものをブレンドして、さらに流れながらも下方向にバラけてくれるエサを入れれば、さらに食わせとリンクさせやすくなる。だから実釣時は寄せるための『段差バラケ』と下方向にいく『バラケマッハ』、それらをうまくまとめてくれる『BBフラッシュ』というブレンドになったんだ」
なるほど。それぞれの銘柄に、それぞれの役割がちゃんとあったんですね。
「当たり前だよ(笑)。むやみやたらと混ぜても意味がないからね」
次回も「宙のバラケに必要なこと」です。
<週刊へらニュース APC・伊藤さとし/TSURINEWS編>
横利根川・中島屋