東京湾の秋のシーバスゲームにおいて、ファンが心待ちにしている「コノシロパターン」。今回は、この釣りの魅力や注意点、実釣の様子をレポートしよう。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・山根央之)
秋のコノシロパターン開幕
「初めてのイッピキ」を求める言わば魚種マニアの僕は、シーバスアングラーを名乗れるほどの者ではなく、シーバスを狙った釣行は年に数回程度だ。そんな僕が毎年決まって釣行するシーバス釣りのパターンがある。それが今から報告する東京湾の「コノシロパターン」だ。
僕には幼い頃から国内外で一緒に釣行を重ねてきた3つ年下の弟がいる。そんな弟が近年力を注いでいる釣りの一つが、シーバスフィッシングだ。10月下旬、弟からコノシロパターンが今年も開幕したとの一報を受けた。
初冬に産卵を控えたシーバスは秋に荒食いをする訳だが、中でも25cmを超すコノシロの群れに付くシーバスはとてもアグレッシブだ。海面にコノシロの群れを追い込みパンッパンッという捕食音を上げながら豪快にボイルする。ルアーサイズをコノシロに合わせるため、最低でも15cm、大きい物では20cm以上の物を使用する夢のビッグゲームの面白さを知ってしまうと、なかなか他の釣りに足が向かなくなってしまうほどだ。
ナイトウェーディングでシーバスゲーム
さて、東京湾のコノシロパターンはボート、岸壁、ウェーディングと様々な場所から楽しめるが、僕が一番面白いと感じるのは、干潟のナイトウェーディングだ。自らコノシロの群れに取り囲まれながら目の前でボイルするシーバスと対峙する。目線や距離が一番自然に近いため迫力満点だ。
夜のウェーディングには様々な危険がつきものであることは言うまでもない。釣行時は必ず現場に行き慣れた人とバディを組み、複数人で釣行しなくてはならない。気象条件や海況は刻一刻と変化するため、時間、体力、精神力に余裕を持つことも忘れてはならない。
東京湾の干潟にもアカエイが多く生息している。実際にウェーディング中の遭遇率も高く、年に数回しか海に浸からない僕でさえも何度もヒヤッとさせられた経験がある。幸いにもエイガードと呼ばれるエイ被害を軽減させるグッズが販売されているので必ず活用したい。
なお、夜のウェーディングならではのマナーとして、フラッシャーと呼ばれる発光器を自分の背後に取り付けることが挙げられる。万が一、漂流した際にSOSサイン等、自分の位置を知らせることができる。釣り人口が多い東京湾では背後からルアーを投げ込まれないようにするためにも必ずフラッシャーを付けるように心がけよう。
「至福」のコノシロパターン
11月の大潮後の中潮で千葉県のウェーディングポイントに釣行した。当日は背後から風速2m/s前後の心地いい追い風だ。海況も穏やかで安全に釣りができた。情報の通り、大量のコノシロが集結していてヘッドライトを灯すとパニックになったコノシロ達がゴンゴンとウェーダーに当たってくるほどだ。
今回使用したのは、16cm前後のウエイクルアーと呼ばれるフローティングミノーだ。この釣りでは水面をゆっくり引くことができるルアーを選択することが重要だ。15cmも潜らせれば毎投コノシロがスレ掛かりしてしまう。
水面に引き波を立てるようなイメージでルアーを引っ張っているとパーンッ!と遠くで捕食音が聞こえてくる。シーバスがルアーにバイトした音だ。ほんの少しタイミングが遅れてサオが絞り込まれる。まさに至福のひと時だ。