こんにちは、プロフェッサー永井です。先週のバイトマーカーの写真を見て驚いた人は多いと思いますが、魚があのように色を見ているとしたら、今まで使ってきたルアーカラーに一石を投じる事態です。実際、私も衝撃を受けました。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 APC・永井浩明)
「レッドヘッド」の秘密
このフィルムを手に入れたあと、自分のタックルボックスをひっくり返して、いろいろなカラーを見ていると、昔から残っている定番カラーが頭をよぎりました。ルアーの種類や色は、次々と新しいものが発売されます。それでも、釣れる、売れる色というものがあります。
その代表的なものが「レッドヘッド」。私がルアーを知った数十年前には、おそらくすでに定番だったと思います。エリアではあまり使われていませんが、釣り人なら知らない人はいないというくらい、有名なカラーですよね。そのカラーリングが絶妙なのです。赤に白、一つのルアーで、明と暗を持っているカラーリングというわけです。
さらに、前回の記事で触れた釣り場の立ち位置や天気、レンジの違い。これら、たくさんの要素が繋がって、分かったことがありました。「そうだ、背景の色も重要なんだ」と。
背景色との対比で際立つ
写真(1)は人間の目線です。白と黒のスプーン+バイトマーカーですが、バックの色に注目してみてください。
写真(1)のバックは白、写真(2)はこれを魚目線で見たものです。
写真(3)はバックが黒、(4)はこれを魚目線で見た写真。気づきましたか。背景の色によって、目立つカラー違います。バックが白だと白いスプーンは目立ちませんが、バイトマーカーが際立つものがあります。黒だと、魚目線では、黒いスプーンにオレンジのバイトマーカーは何も見えない状態になります。
これは人間の視界にも言えることですが、例えば小学校。白いノートに黒い鉛筆で文字を書きます。一方、先生は黒板に白いチョークです。バックの色に対し、何色が見えやすいかということです。
背景色とアピール力の関係
魚たちは、水中で目立つルアーめがけてバイトしてきます。レンジが変わればそのぶん、背景(水色)は暗くなるかもしれませんし、王禅寺では林側、駐車場側では日の方向が変わり、魚の方向も変わります。
魚から見て、目立つカラーとはどんなものなのでしょう。今一度、写真をよく見てみましょう。バックが白でも黒でも、絶対にどこかが目立つ組み合わせがありますよね。そういったカラーは、どんな状況でも、魚にアピールできる力を持っています。レッドヘッドも同じく、バックが白でも黒でもどちらかが魚にアピールできます。これが、定番の秘密です。
次回はいよいよ最終回、目立つカラーとはどんな色か、私が魚目線フィルムを使って考えた限定カラーリングについてお話しします。お楽しみに。
第一回「サカナの色覚の謎にせまる:特殊フィルムでルアーを検証」を読む
第二回「サカナの色覚の謎にせまる:人間に見えている色彩とはどう異なる?」を読む
永井浩明さんプロフィール
ベリーパークインフイッシュオン王禅寺インストラクター、ムカイフィッシングタックル開発、永井浩明研究所所長、小満屋代表取締役、釣人塾塾長。代表作 ZANMUシリーズ・フルスペックシリーズ・電動リトリーブマシンスイムチェッカー・スピードメーターグルーン・小満屋ドラグ・KOMAYA EYE。
<週刊つりニュース関東版 APC・永井浩明/TSURINEWS編>