桜の花が咲き始めると各イカダ&カセにも春が訪れて、クロダイ(チヌ)のカカリ釣りファン待望の乗っ込みシーズン到来となる。まだ水温が不安定な時期だが、入門者にとっても初めての年無し(50cm以上の通称)を手にしやすい絶好機でもあるのだ。良型のクロダイに出会うためには何が求められるのだろうか……。そこで今回はイカダ&カセで狙う春の乗っ込みクロダイ攻略法を紹介したい。
概況
春になると、深場で越冬していたクロダイがエサと産卵場所を求めて湾内へと集まり始める。
この時の回遊行動を「乗っ込み」と言う。
時を同じくして、湾内で冬を過ごした居着きのクロダイも水温の上昇とともに活発化し、いずれ産卵のため合流する。
こちらも併せて乗っ込み期のターゲットとなる。
釣り場選び
乗っ込み期のクロダイを手にするために、最も大事なことは場所選びと釣行のタイミング。
動きだした魚にうまく出会えれば大釣りの可能性もあるが、選択を間違えると厳寒期の釣りを強いられることもある。
春だとはいえ、まだまだ不安定な時期なのだ。
三重県下では、例年3月中旬~4月下旬がシーズンの目安。
的矢湾をはじめ鳥羽エリア、英虞湾、五ケ所湾などの各釣り場で乗っ込みの現象が顕著に感じられる。
紀東エリアなどでは2月中から釣れだす場所もあるが、外洋に近いせいか厳寒期と乗っ込み期の境界線があいまいな印象だ。
もどかしいのは、クロダイの回遊コースやタイミングが毎年一定ではないということ。
近年は温暖化の影響か、乗っ込みというほどメリハリがつかないままシーズンが過ぎる年もあり、動きを読むのは簡単ではない。
そんな状況下で確率の高い釣りをするには、本紙やインターネットなどの情報を頼りに、実績の出た釣り場になるべく日を空けず釣行するのが最も有効。
特に昨年は不調だったので、今年は前年の実績を過信しない方が無難なように思う。
タックル
せっかくの乗っ込みシーズン。
春の醍醐味でもある良型に狙いを絞って挑戦したい。
そこで、使用するサオは1.5m前後で、良型の引きにも対抗できる腰のしっかりしたものを選択したい。
浅場や潮流の弱い釣り場なら、フカセ調子など食い込みのいい軟らかめの穂先がお勧めで、水深がある釣り場や潮流が速い釣り場では、先調子など硬めの穂先を選択するようにしよう。
リールは両軸(上向きタイプ)でも片軸(下向きタイプ)でも使い慣れたもので構わない。
トラブルの少ない信頼できるものを選択したい。
ハリスはフロロカーボンラインの2号を主軸に、水深の浅い釣り場では2.5号、ロープやカキ棚など障害物のある釣り場では3号を選択しよう。
水深5m以下のポイントもあるが、浅場で掛けた場合は右へ左へと疾走する。
強気のやり取りができるよう、良型仕様のタックルで挑みたい。
少し余談だが、乗っ込みシーズン中にカキチヌ(カキエサ釣法)でクロダイを狙う機会もあるかと思う。
カキチヌのように落とし込みを多用する釣り方では、同じフロロカーボンライン製のラインでも『チヌ筏かかりⅡ/東レ』のような張りの強いものがお勧め。
硬めのハリスは仕掛けの張りやすさ、ヨレにくさなど、用途によっては実釣でのメリットが多い。
同じくフロロカーボンライン『チヌ筏かかり春夏秋冬/東レ』など軟らかめのハリスと併せて、釣り場・釣り方に応じて使い分けるようにすればいいと思う。
ハリはクロダイ用の5号を主軸に3~6号。
オモリは落とし込みや遠投の出番も多い時期なのでガン玉B~5B、0.8~2号までを準備しておきたいところだが、繰り返し使えてハリスを傷付けにくいゴム張りタイプがお勧めだ。
ダンゴ&さしエサ
集魚力の高いダンゴが望ましい時期だが、割れのコントロールを優先して、使い慣れたブレンドをお勧めしたい。
私の場合は、年間を通して『パワーダンゴチヌ』、『大チヌスペシャル』、『速戦爆寄せダンゴ』、これにオキアミ、『活さなぎミンチ激荒』(いずれもマルキユー)を使用している。
さしエサは『くわせオキアミスペシャル/マルキユー』でなんとかなる場合がほとんどだが、釣り場によっては春の好餌でもあるボケ、フグ対策のアケミ貝が必要になることもある。
予約時に当たりエサも聞いておこう。
<横山大幸/TSURINEWS編>