『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ

昨シーズンの日本全国でのシラスウナギ採捕量は過去最低の3.7t。でも、ご安心を!今シーズンはすでに昨年の数倍の採捕量となっています。ウナギ好きの日本人にとっては気になる、シラスウナギの生態~問題点、さらには蒲焼きの価格について説明します。

(アイキャッチ画像出展:photoAC)

TSURINEWS編集部 TSURINEWS編集部

その他 お役立ち

シラスウナギとは

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へよく見るとかわいい顔をしている?ウナギ成魚(出展:photoAC)

シラスウナギの漁獲量が減っている、あるいは密漁などのニュースを耳にする機会がたびたびあります。そもそもシラスウナギとはなんなのか?先ずシラスウナギとはを用途と共に説明します。

シラスウナギの外見

シラスウナギを簡単に言えば、ウナギの赤ちゃん、幼魚のことを指します。身体は透明ですが動きはニョロニョロ、顔も形もウナギと変わりません。都市型河川にも生息していますが、その外見のため簡単には見つけることができません。

シラスウナギの生態

卵から生まれたウナギの稚魚は、オタマジャクシのような形をしており「プレレプトセファルス」と呼ばれます。そこからしばらくすると葉っぱのような形をした幼生「レプトセファルス」に成長してからウナギらしい形のシラスウナギへ変貌を遂げます。その後川に上り成魚になります。ウナギは形態が何度も変わる面白い成長を遂げるサカナの1種類です。

成魚は5年から15年にかけ、河川や河口域で生活し、そのあと海へ下り、日本から約2000km離れたマリアナ諸島付近の海域で産卵することが、近年分かってきています。その後、海流に乗りフィリピン方面→台湾方面→日本の故郷の川へ戻ってきます。

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ都心の河川でも釣れることがある(提供:TSURINEWS編集部)

なぜシラスウナギを獲るのか

シラスウナギをそのまま食べるわけではなく、幼魚から養殖するため採捕されます。ウナギは、まだ完全養殖の技術が確立されていないので、幼魚から育てます。

成魚になると筒や釣りなどで捕獲することが可能ですが、アジやイワシのように大量に取れないため効率が悪く、需要を賄うことができません。そこで、一気に遡上してくるシラスウナギを捕まえ、育てたほうが効率がいいためこの方法がとられています。

まだまだ不明な点あり

そんなウナギは、日本人と関わりが深いものの、未だに解明されていないことが多くあります。前述しましたが、産卵場所は80年間研究して、やっと2011年2月に西マリアナ海嶺と判明しました。

しかし、ウナギがどのように産卵場所へ向かうのか、雌雄の出会い方、シラスウナギの正確なルートなどは途中までしかわかっておらず、まだまだ生態には不明な点が多く残っています。

ウナギの養殖について

養殖方法は河川へ遡上してきたシラスウナギを捕獲し、それを陸地にある養殖池で育てるというものです。

養殖池はビニールハウスで覆い、水温を年中30℃前後にキープし、エサは定期的に与えて病気を防ぎつつ成長速度を上げ、約半年~1年ほど育て、200g以上になると出荷します。

ウナギの消費量のうち99%は養殖のため、天然物のは1%程度です。ウナギ(ニホンウナギ)は個体数の減少が危惧され、絶滅危惧種に区分されています。そのため個体数保全の面からみても完全養殖に切り替わることによる効果は大きいと言えるでしょう。

しかし、完全養殖については水産研究・教育機構、近畿大学などで人工孵化と稚魚の飼育は成功していますが、商業利用には成長速度が遅いことや卵~稚魚の生存率が5%などと大量に生産できないことが大きなネックとなっています。完全養殖にはまだ時間がかかりそうです。

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へエサに群がる養殖ウナギ(出展:photoAC)

全国生産量分布

ちなみに平成30年では全国で15104t。上位5県は、鹿児島県6381t、愛知県3459t、宮崎県2539t、静岡県1457t、徳島県332tと鹿児島県がダントツの生産量を誇っています。

ウナギは稚魚でも高級魚

外食だと3000円~とウナギはなかなかのお値段がします。それは稚魚のときから高級魚として扱われることも大きな要因のひとつです。

1kgで数十万~100万円超え

シラスウナギは、地域や採捕量によって数十万単位の大きな価格変動をします。見出しにもある通り、数十万~100万円で値動きしますが過去には200万円超えという記録もあるほどです。

ちなみにシラスウナギは1尾を0.2gとして換算するため、1kg=100万円とした場合、爪楊枝ほど細さで体長が6cm前後の透明な魚が1尾あたり200円。そこから半年~1年かけて育成して出荷するわけですから、高いのも納得です。

獲り方について

『シラスウナギ』漁が全国的に好調 過去最低だった去年からV字回復へ徳島吉野川のシラスウナギ漁(出展:photoAC)

シラスウナギの遡上してくる12月~4月(地域により前後あり)に漁期が設定され、特別採捕許可を得た人だけが取ることが可能になっています。また、シラスウナギの漁獲量や期間、漁法、場所はかなり厳しく指定されています。

基本的な取り方は、ウェーダーや長靴を装備するか、船で夜間に河川をライトで照らし、網で掬うといういたってシンプルな漁法がとられています。

しかし、養殖に使うという観点から活魚でなければいけません。また、暗闇のなかライトで照らした水面を見つめて透明な魚を掬うため、シラスウナギと他の稚魚との判断は素人には難しく、熟練の技が必要になります。

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