海水魚と淡水魚を一緒に養殖できる『好適環境水』 実験失敗で発見?

海水魚と淡水魚を一緒に養殖できる『好適環境水』 実験失敗で発見?

サカナは大きく分けると「淡水魚」と「海水魚」の2種類。この2つには水の塩分濃度という大きな壁があります。ところが魔法の水『好適環境水』の出現で、海水魚と淡水魚が同時に養殖可能になったんです。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部 TSURINEWS編集部

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海水魚と淡水魚の体の違い

サカナは海水でしか生きていくことができない【海水魚】と、川や池、沼などの淡水でしか生きていくことができない【淡水魚】の2つにざっくりと分けることができます。

中には、サケやスズキといった淡水と海水の両方で生きられるものも存在しますが、この決め手となっているのが『水の塩分濃度』です。

サカナはエラ(鰓)という器官を使い、水の中に溶けた酸素を吸収して呼吸を行っています。このエラには、呼吸以外にも重要な機能があります。それが『体内の塩分調節機能』です。

淡水魚と海水魚では、この機能に大きな違いがあるため、塩分濃度の異なる環境では生きていけません。

海水魚と淡水魚を一緒に養殖できる『好適環境水』 実験失敗で発見?海水と淡水では塩分濃度に差が(出典:PhotoAC)

サカナは浸透圧の影響を常に受けている

サカナは体内の塩分濃度と、生活している環境(外界)の塩分濃度が異なるので、常に「浸透圧」の影響を受けています。

海水魚の場合

体内よりも外界の塩分濃度の方が高いため、何もしないと体内の水分がエラや体の表面からどんどん抜けていき、干からびてしまいます。そのままだと体液が異常に濃くなってしまうため、海水魚は抜けた水分を補う必要があります。具体的には、積極的に水を吸収し、体液と同じくらい濃い尿をごく少量排出します。過剰に海水を取り込むことで溜まった塩分は、別途エラから排出します。

淡水魚の場合

体内よりも外界の塩分濃度の方が低いため、何もしなくても外界から体内に水分が入ってきます。このままでは、体液が薄くなってしまうため、肝臓で水の再吸収を抑え、体液の1/10程度の薄い尿を多量に排出することで、体液の濃さを維持します。塩分は食物、もしくはエラを通して周りの水分から自力で取り込みます。

海水魚との大きな違いは、淡水魚は水を飲むことがないということです。

エラの機能の違い

前述したように、サカナは呼吸を行うエラでも体内の塩分を調節しています。

海水魚と淡水魚では、同じように塩分を調節する機構を持っていますが、性能が全く異なります。海水魚の場合は体内から塩分を排出する機能を持ち、一方で淡水魚の場合は体内から塩分が逃げないつくりになっているのです。

これらはそれぞれ、一方向の調整しかできないため、海水魚を淡水に入れると体内の塩分が足りなくなり、反対に淡水魚を海水に入れてしまうと塩分の過剰摂取が起きてしまいます。

それぞれが自分に合った環境でのみ、生息することができるのです。

両方に適応できる種も

しかし、中には海水と淡水の両方で生活を送れるサカナも存在します。例えば、川で生まれたサケは淡水で生まれた後、川を下り、海で数年間生活をしたのちに、生まれた川に戻ってきます。

ウナギは反対に海で生まれ、川で過ごした後に、再び海で産卵を行います。これらの魚は浸透圧調節を環境に応じて器用に切り替えることができます。

しかし、うまく調節できるからと言っても、いきなり機能を切り替えることはさすがにできません。

環境を変える場合はしばらく河口付近の海水と淡水が混ざった(汽水域)で生活し、体を慣らしてから生活域を変えています。

海水魚と淡水魚を一緒に養殖できる『好適環境水』 実験失敗で発見?マス類は淡水から海水へ(出典:PhotoAC)

次のページでいよいよ『好適環境水』を解説

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