ユーは何しに日本へ?:ライギョ編 魚なのに溺れてしまう呼吸法とは?

ユーは何しに日本へ?:ライギョ編 魚なのに溺れてしまう呼吸法とは?

淡水域の外来生物として有名なサカナと言えば、ブラックバスやブルーギル。超有名外来種2種に若干押され気味なライギョ。そんな「ライギョは何しに日本へ?」をお届けします。

(アイキャッツ画像出典:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

日本に持ち込まれた理由

持ち込まれた理由には諸説あるようですが、「金魚の養殖で有名な奈良県郡山の人が朝鮮(当時)から持ち帰って、近くの溜め池に放流した」というのが、最有力説のようです。

そのほかにも「千葉県の教師が、観賞用に海外から持ち帰ったものが大洪水で逃げ出し、それが利根川で繁殖した」説や「鯉の稚魚を輸入したとき、これに混ざっていたため近くの川に放流された」などの説があるようです。

外来魚だけど飼育可能

なんとなく特定外来生物だと勘違いされがちですが、実はライギョは特定外来生物ではありません。

たしかに、以前までは外来生物法の要注意外来生物のリストに載っていましたが平成27年3月26日をもってこのリストも廃止され、そのタイミングで発展的に解消されました。

今現在は、現在は環境省より生態系被害防止外来種リストというものが発表されていますが、このリストにもライギョの名前は載っていません。(2020年1月10日現在)

生態系に被害を及ぼす生物ではないと現在は判断されています。しかし、北海道、群馬県、愛知県、滋賀県、などの一部の地域では漁業調整規則にもとづき、移植禁止の措置がとられています。

ユーは何しに日本へ?:ライギョ編 魚なのに溺れてしまう呼吸法とは?シルエットも蛇(ヘビ)に似てるかも?(出典:PhotoAC)

人気の観賞魚

実はタイワンドジョウ属のサカナは観賞魚としてはかなり人気の種類です。

日本に生息している3種は、体色が茶色や暗い色をしているため、飼育に関心がない人はあまりイメージしにくいかもしれませんが、海外に生息するタイワンドジョウ属のサカナは色鮮やかで非常に美しいものも存在します。

そのため、鑑賞魚の世界では人気のカテゴリーとなっています。

ちなみに、大型の熱帯魚専門店では日本のライギョも販売されており、幼魚は目が大きく非常に愛くるしいのが特徴です。しかし、前述の通り、成魚になる頃には、80cmを超える大型になるため、飼育にはそれなりの設備が必要です。

安易な気持ちで飼い始めて、飼育に困って、近所の池や川に放流することのないようにしてください。

そういった行為の積み重ねにより、近い将来、飼育することができなくなってしまう可能性があります。

食材としての利用

ライギョは一部の人からは、非常に美味しいサカナだと言われています。また中国や朝鮮半島、東南アジア諸国では食用としても人気の魚です。

綺麗な川で育ったライギョには臭みが少なく、小骨も多くないため食べやすく、まるで鶏肉のような味だと言われています。

日本では海の幸が豊富で、輸入でも鮭などの魚も安く手に入るため食べることがありませんが、諸外国では揚げたり蒸したり、鍋やカレー等の具材として重宝されています。

しかし、ライギョは、顎口虫という寄生虫の中間宿主とされます。顎口虫に寄生された魚を生食することで、顎口虫症を発症します。顎口虫は皮膚の下などを移動し、引っ掻いたような皮膚の炎症を起こします。脳や眼球に到達した場合、脳障害や失明といった重大な症状を引き起こす場合もあります。生食は絶対にやめましょう。

とはいえ養殖技術が進歩している現代では、成長速度の速いライギョは生産効率のいい食材として少しずつ注目されています。もしかすると、近い将来、うなぎの代わって「ライギョの蒲焼き」や「ライギョ飯」なんてのも現れるかもしれません。

ぜひ一度は食べてみたいサカナですね。

<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>