伊勢湾の冬の風物詩となっているフグ釣り。ゲーム性の高さと、食味の良さが魅力で、年々ファンも増加している注目の釣り物だ。「郷に入りては郷に従え」の格言に基づき、伊勢湾のフグ釣りの造詣が深い、愛知県・南知多町は師崎漁港の老舗釣船七福丸の協力を得て、最新のフグ攻略法を紹介してもらった。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
伊勢湾フグの釣り方
誘い方
まずカットウ釣りの場合は、アタリを取ってかけるのではなく、5~10秒ごとに誘いと先述の根掛かり回避を兼ね、空アワセを繰り返しながら釣る。空アワセはビュンと鋭く行うと、せっかく寄ったフグを散らしてしまうので、ゆっくり仕掛けを持ち上げるように行う。仕掛けを下げるときも同様で、ストンと落としたり、オモリを底に強くぶつけるのは避けよう。
ちなみに仕掛けを動かす上下幅は、サオにオモリの重さが乗った状態で10cmほどだ。
また、ベタ底狙いの際のテクニックに「ゼロテン(テンション0)釣法」と呼ばれるものがある。5~10秒ごとに入れる上下の誘いの合間、オモリを底に着け、イトを張らず緩めずにしてフグにエサを見せ、寄りつかせる手法だ。この間にフグがエサをつつけば、アタリを取ってアワせることもできる。
アワセ方
次にアワセの方法。空アワセの途中で、ハリがフグを捉えれば、グウッと重くなると同時に、ブンブンとフグが暴れる感触が伝わる。ここでグイッと手首を返して本アワセを入れる。大アワセは禁物で、周りに寄ったフグを散らし、警戒心を与えてしまう。
やり取りについては、サオを水平にして、魚の重みがサオの胴に乗るようにし、一定のテンションで巻き上げること。ハリには返しがないので、イトが緩めばバレる。波による船の上下動に注意して取り込もう。
続いて、食わせでの釣り方。カットウ釣り同様に、ゆっくり仕掛けを上下させ、誘いながら釣る。ずっとエサを止めていると取られやすいが、動かしているとハリ先が口を捉えやすい。この点はカワハギ釣りと似ている。
エサの付け方と注意点
エサについてはカットウ釣りの場合、アオヤギと冷凍ウタセエビがメイン。最近はアルゼンチンアカエビで好釣果を得ている人も多い。エサは船代に含まれている場合と、別途購入が必要な場合があるので、予約時に確認すること。
続いてエサの付け方だが、仕掛けのエサ掛けバリが隠れるぐらい、たっぷり付けるのがベスト。
エサには刺し方があり、アオヤギの場合はベロと呼ばれる足の部分からハリを刺し、黒っぽい内臓に向かって抜く。フグが好むのは内臓の部分なので、かじられてベロだけになったら、新しいエサに交換すること。これを怠ると、アタリは目に見えて減る。
またエビの場合は、大きなものをまず1匹、通し刺しにしてハリの軸を隠す。続いてやや小さめのものを続々と刺し、ハリのフトコロから先にかけて刺していく。エビ+アオヤギという組み合わせもOKだ。
なお食わせ釣りの場合は、冷凍ウタセエビを15cm角にカットして、ハリ先からフトコロを隠すように刺す。カワハギ用のアサリでもいいが、エビの方がエサ持ちがよく、刺しやすいのでビギナー向きだ。
なおすべてのエサに言えるが、塩で締めた方が身持ちが良くなる。ただし、かけ過ぎには注意。水分が抜けすぎて硬くなるので、弾力が残る程度に締めよう。
フグのおいしい食べ方
フグ釣り船では、有免許者が有毒部分を取り除き、すぐに食べられる状態にしてくれる。
持ち帰ったフグは、ペーパーとラップでくるみ、ひと晩以上寝かせるのが基本。釣った当日は身が硬く味も薄いが、ひと晩、ふた晩寝かせることで旨味が増し、食感もほどよくなる。
大型のものは刺し身や鍋を楽しみ、小型のものは唐揚げや丸ごと鍋に入れてもおいしい。しっかり密封して冷凍すれば、1~2カ月間は品質を損なわずに食べられるので、たくさん釣ってストックすることもできる。
さて以上がフグ釣りのハウツーだが、普段は外道扱いされるフグも、狙って釣ると実に奥が深い。若い人や女性のファンが増えていることからも、この釣りがいかに面白いかよく分かる。今冬も寒さに負けず挑戦し、ビギナーはその面白さを、中級者以上の人は、あこがれのジャンボサイズの引きを楽しんでほしい。
<週刊つりニュース中部版 編集部 /TSURINEWS編>