伊勢湾の冬の風物詩となっているフグ釣り。ゲーム性の高さと、食味の良さが魅力で、年々ファンも増加している注目の釣り物だ。「郷に入りては郷に従え」の格言に基づき、伊勢湾のフグ釣りの造詣が深い、愛知県・南知多町は師崎漁港の老舗釣船七福丸の協力を得て、最新のフグ攻略法を紹介してもらった。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
伊勢湾のフグシーズン推移
シーズン初期の12月ごろは、数型好みに合わせて狙える時期で、花形のヒガンフグのほか、ショウサイフグやコモンフグなど、比較的小型のフグの数釣りが楽しめる。
ショウサイフグやコモンフグは食わせ仕掛けでも十分楽しめ、生息場所もヒガンフグほど荒い岩礁帯を好まないので、釣りやすく入門者も楽しみやすい時期だ。
やがて季節が進み、本格的な冬を迎えると、深場での良型狙いになる。このころになるとヒガンフグの割合が高くなり、平均サイズも大きくなって、カットウ釣りが有利になる。ジャンボと呼ばれる1kg超えのヒガンフグが高確率で狙えるのもこの時期だ。
そしてシーズン後半となる3月ごろは、産卵を控えて浅場に集まったフグの大漁が期待できる時期。日ムラはあるが、ヒガンフグの集結日に当たると、良型が爆釣する。釣果が急上昇し始めたら迷わず足を運ぼう。
フグ釣りのタックル
ロッド
知多半島出船のフグ船では、オモリを30号に統一しているところがほとんど。ゆえに、サオは30号オモリの使用に適したものを選ぶ。カットウ、食わせと各社から専用モデルが発売されており、調子も総じて9対1または、8対2のごく先調子。これらのサオを選択すれば間違いない。カワハギ用のサオも流用可能だ。サオの長さは1.5~1.9mで、短いほど操作性が良い。
ただし風波で船の上下動が激しく、サオを上下させて仕掛けを定位させたい場合は、長いほど対応力があるので適時使い分けるのがベストだ。
リール
小型ベイトリールを使用し、ミチイトは、下イトを介してPEラインの1.5号前後を150~200m巻こう。深くても30mほどの釣りだが、イトを消耗したときを考えると、先述の量が安心だ。
カットウ釣りの仕掛け
釣り人のテクニックがモノを言うフグ釣りだが、仕掛けも同じぐらい大切で、狙い方によって使い分ける必要がある。
カットウ釣り基本の仕掛け
まずカットウ仕掛けの場合は、本稿イラストにある「基本の仕掛け」がスタンダード。このタイプは底からほんの少し浮かせて誘う釣りに適合する。
なお今回の特集に協力してくれた七福丸では、オモリに付ける掛けバリの付いたハリスを、1組と2組に変更できるタイプの仕掛けを船の定番仕掛けとして使用している。基本は掛けバリを2組付け、根掛かりなど状況を見て、ハリスの数を減らすことも可能な仕掛けだ。
カットウ底釣り用仕掛け
次にイラストの「底釣り用仕掛け」となっているタイプは、その名の通り、ベタ底狙いの際に使用する。冬から春にかけてはベタ底狙いが中心になるので効果的だ。
カットウ釣りの底狙いで注意すべき点は、絶対に仕掛けを底で引きずらないこと。うさぎ跳びの要領で、底の凹凸を飛び越えるように仕掛けを上下させて根掛かりを回避しながら釣ろう。
カットウアーム仕様の仕掛け
そして、最近注目されているのが、「アーム仕様の仕掛け」だ。この仕掛けはフグがスレてきたり、活性が低くて仕掛けの真下に入ってこない場合に効果を発揮する。船が多い関東地方などで威力を発揮していることから、スレているなと感じたら使ってみる価値は高い。
以上が、仕掛け本体についての話だが、最後に一番大切なハリの話。フグを掛けるハリは鋭さが命だが、根に当たってハリ先が鈍くなってしまうのもこの釣りの宿命だ。掛けバリの予備は多数持参し、常に鋭いものを使用するよう心がけよう。1釣行あたり持参すべき数は10~20本。熟練者になると30~40本持っていく人もいる。
食わせ釣りの仕掛け
短いハリスが付いた胴つき3本バリ仕掛けが主流だが、ベタ底か底付近を釣るため、全長が短い仕掛けが適する。
イメージ的にはオモリを底に着けた場合に、一番下の枝スが底から10cm程度以内にくるような仕様で、全長も短いものがいい。イメージ的にはカワハギ仕掛けのような、短いミキイトに枝ス3本が集中して配置されているようなタイプが伊勢湾の釣りには適している。もちろん枝スは5~7cmと短い方が、アタリを取りやすい。
また、ハリは軸の長いものが必要だ。フグにはペンチのような歯があるので、ハリのチモトがかまれるのを避けるためだ。
なお大型のヒガンフグになると、食わせ仕掛けのハリでは、ひとのみにされてハリスを切られるか、ハリを折られてしまうので、カットウ釣りでないと対応は難しい。