各地で予選大会が佳境を迎え、好シーズンに突入したカワハギ。そこで、エキスパートの林良一さんに「エリア別攻略法」を複数回に渡り解説してもらう。今回は、各釣り場の解説に入る前に知っておくべき基礎知識や今期の傾向などを確認しておこう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 林 良一)
林良一のプロフィール
2012DKO優勝。カワハギはもちろんのこと、アナゴやフグ、タチウオなど東京湾のテクニカルな釣り全般に精通。
数々の経験と独自の理論を基に「RYO‘S METHOD」を確立。釣り教室や、仕掛け作り教室、実釣会などを多数開催し、メーカーなどの垣根を超え多くの釣り人が訪れる。
生息域や習性
まずは「釣り人目線で」カワハギの習性を考えてみたい。
高水温時は磯が海に入り込んでいる岩礁帯や堤防周りのごく浅場にも見られ、比較的浅場を生息域とするが、水温低下とともに群れを作って深場に移動する。
砂地、根回りなどに生息している南方系の魚でウロコが変化したザラついた表皮が特徴。これを剥いで食すために「皮剥」と名付けられた由来がある。
体長に対して口が小さく、水ごと吹って砂の中のエサを探す。エサを吸い込んで歯で噛み、ちぎるように食べる。水中でヘリコプターのように定点で留まるホバリングができるので仕掛けの動きに追従、同調するためアタリがでにくい。
シーズナルパターン
シーズンごとのパターンを解説
秋
水温が下がる秋は、水温の安定している深場を求めながら越冬のために群れが固まりはじめ、エサをよく食べるようになる。
「秋が好期」といわれるのはこのためで、腹を空かした活性の高い群れに当たればアタリが続き大釣りのチャンス。アタリが多いので入門に適した時期でもある。
「コッパ」と呼ばれる小型も交じり、小さなその口にいかにハリを掛けるかが、数を伸ばすには大切な要素となる。
冬
カワハギは「越冬」する。越冬の対になる言葉として「冬眠」という行動があるが、こちらは呼吸数や脈拍が下がり仮死状態になる状態を指す。一方「越冬」は生き続けながら冬を越す。
それゆえ、同魚は秋に荒食いし肥大したキモの栄養を使いながら冬を越す。
春
春の始まりは冬を引きずって低水温期となり、気難しい魚との勝負。しかし、初夏に近付くと、産卵を意識した活性の高い個体が現れてくる。
夏
初夏~夏は産卵時期。そのため、東京湾では産卵場所となる剣崎沖を自主禁漁とする船宿が多い。〝ごく浅場で大型が釣れること〟が特徴で、釣り場の水深が浅いため、水圧の変化を受けにくく水面まで大暴れして大型が上がってくるという、魅力的な時期。