秋が深まると同時に注目を集める魚「ハゼ」。手こぎボートや陸っぱりでは夏季から釣られているが、この時期になると少し深場へ移動して成長、型がよくなる。実釣取材レポートをお届け。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 神奈川・大谷俊夫)
秋の東京湾「船ハゼ」
ハゼは、現在では漁の対象になっておらず、食すためには釣るしかない。その味はとても美味で、天ぷらや空揚げ、刺し身などがお勧め。狙う水深は数mで、リールを使うほど深くはなく手バネが主流。江戸前に釣趣を堪能できる。
仕掛けはたいこオモリやナス型オモリの5号前後、ハリは袖4号前後。小型の専用天ビンがあるといいが、サルカンなどで代用する場合はある。エサは青イソメ。
現在、受け付けている船宿は内房木更津桜井の雄士丸と東京湾門前仲町の深川冨士見、仕立で浜松町の縄定、立会川の大山丸など。近く鶴見の新明丸が開始予定。
深川富士見丸でハゼ釣り
10月14日(月)、釣友5人と深川冨士見から釣行。台風19号による強い濁りはあったが活発な食いで、小気味いい引きを楽しんだ。
出船は7時半と遅め。東京メトロまたは都営大江戸線・門前仲町駅から徒歩約10分なので、電車釣行が可能。また駅からの送迎があり、至れり尽くせり。
この日は3人が電車で集合した。レンタルタックル完備なので、魚を持ち帰る手段さえあれば手ぶらで釣行可能。
朝から厚い雲が広がり、雨がぱらつく空模様。寒くなってきたので、薄着では厳しくなってきた。我々6人は右舷に並び、左舷には長南さんと児玉さんの2人組が座る。
河岸払いした船は茶色に濁る海を離れて、一路、千葉木更津沖へ。キャビンでうとうとしている間に到着。同行した女性陣からは「なぜハゼなのか。アジを釣りたい」とか「ハゼは可愛くない」などの言葉。下馬評が極めて悪いなか開始する。
当日はリールを使わない手バネタックルで挑戦。
強い濁りでもアタリ活発
台風による底荒れや、個体が流されていて釣れないなどの不安はあったが、開始すぐに魚が掛かって盛り上がる。やはり釣れると楽しく、下馬評を覆す盛り上がり。
小杉さんは「うえー」とか「いやー」とか言いながらも苦手な青イソメと格闘。後半には17cmを超えるこの日一番の良型をゲット。ほくほく顔で釣果を持ち帰り、空揚げで美味しく食べたようだ。
小菊さんと妻の敏子さんは釣り経験が豊富。淡々と数を伸ばしていき、自宅で待つ愛犬の分を含めてしっかりキープ。
小菊さんは「刺し身で食べてみたいんだよ」と言って大型をていねいにさばき、晩の食卓に並べたようだ。想像を超えるほど美味だったようで、「アジを釣りたい」と言っていた敏子さんもハゼを見直したようだ。
須澤さんはこの釣りと相性がいいのか、次々に掛けていく。船釣り経験豊富な米谷さんも「船からのハゼ釣りは初めてです」といいながら満喫している。
上級者は2本竿で
雨は徐々に強くなってくる。カッパを着ていても袖口などから浸水があり、不快感を伴って気分が落ち込む。
それでも魚は次々にアタリをくれて、飽きさせない。途中、休憩することはあっても、皆がもくもくと竿を出し続ける。
左舷の常連・児玉さんは、孫の長南さんと2人で釣行。
長南さんは2本竿をうまく操って、次々に魚を仕留めていく。この釣りでは上級者は2本出して、次々に竿を立てるのが名物シーンになっている。
当日の釣果
雨がますます強くなってきた14時半ごろ納竿。それぞれが数十尾の釣果を得て満足気だった。
プルプルのアタリに素早くアワせても、掛からないことは多い。うまく掛かれば「してやったり」、掛からなければ「あれー、悔しい!」で盛り上がる。掛からないことすら楽しめる、唯一の釣りかもしれない。
<週刊つりニュース関東版 神奈川・大谷俊夫/TSURINEWS編>