日本は四方を海に囲まれた島国であり、季節や場所によってスーパーに並ぶ魚介類も様々。特に秋は、産卵や冬に向けて、脂が乗り太った美味しいサカナがたくさんいます。今回は、なかでも9月に旬を迎える東日本のサカナを紹介します。
(アイキャッチ画像作成:TSURINEWS編集部)
9月の北海道地方の旬『キタムラサキウニ』
北海道といえばウニ!
ウニの中でもキタムラサキウニは産卵期が7~10月のため、特に産卵期真っ只中の秋は可食部のサイズも大きくなり、食べごろです。
形もふっくらとしており、型崩れしづらいのが特徴。そのため、寿司屋のネタとして使用される機会が多くなります。
可食部の色が鮮やかなエゾバフンウニに対して、キタムラサキウニは「白ウニ」と呼ばれ、あっさりした上品な甘みが魅力です。
小樽での代表的な食べ方
まずはキタムラサキウニの濃厚な味わいを楽しむためにも、軍艦巻きやウニ丼は避けては通れません。
まずは生食で食べることをおすすめします。
少し邪道かもしれませんが、変わり種としては「ウニクリームパスタ」もおすすめ。
さっぱりとしたウニだからこそ、調味料で味を整えることで、旨味をぐっと引き出すことが出来ます。
9月の東北地方の旬『サンマ』
秋の味覚の代表的な鮮魚と言えば秋刀魚(サンマ)。
名前にも秋という文字が入っていますが、この時期のサンマは一番脂がのっています。
特に、9月の走りから10月末までは脂のノリもピークに。
旬が終わりに近づくと同時に脂ののりは少なくなっていくので、この時期だけは絶対に逃さないように!
宮城での代表的な食べ方
塩焼で食すのが秋の味覚の代表格。
秋刀魚は餌を食べてから排出するまでの時間が短いために、内臓にえぐみがなく、塩焼時に「はらわた」も美味しく食べられるのが特徴です。
ほろ苦い大人の味をお酒と一緒に楽しむのもいいでしょう。
また、三陸をお訪れた際はぜひサンマのお刺身を食べてみてください。
新鮮なサンマでしか楽しめない、しっとり口溶けのいい脂と、コリコリとした食感をぜひ堪能してみてください。
9月の北陸地方の旬『ノドグロ』
関東地方ではアカムツと呼ばれているこの魚。
口を開くと中が真っ黒なことから「喉が黒い=ノドグロ」と呼ばれています。
関東では高級魚としてわれており、値段は1匹3,000円前後で取引され、高級料亭で提供されるものには1万円を超えるものもあるほどです。
石川での代表的な食べ方
新鮮なアカムツなら生食がオススメです。非常に傷みやすいため、お刺身やお寿司で食べることがでできるのは産地ならでわ。
白濁の濃厚で甘い脂を味わうことができるでしょう。
また、定番なのは煮付け。
この時期は産卵期のためメスは卵を持っている事が多いです。ホロホロな身と濃厚な真子(魚の卵)の組み合わせが最高です。
9月の東海地方の旬『マアジ』
静岡の名物といえば桜えびですが、もうひとつ地元の名物があります。
それが倉沢のアジ。回遊魚であるはずのマアジですが、この地域のマアジは回遊をしない根付きアジと呼ばれています。
海底の豊富な餌を食べ、回遊しない根付きのアジは肥満体型で脂もたっぷりと乗り、大きさも普通のアジの倍以上になることも。
桜えびが彼らの主食であり、非常に贅沢な餌を食べていることが旨味をワンランク上げている要因になっているそうです。
流通量が非常に少ないため、現地でしか食べられない「幻のアジ」とされています。
静岡での代表的な食べ方
ここはやはりお刺身が一番のおすすめ。
このアジは見た目が大きいだけではなくて、脂の乗りも抜群で食感もぷりぷりとしていて絶品。
身の分厚さからしてインパクトがあり、普通に獲れたアジと比較すると約3倍もの差があると言われており、脂の味も上質でマグロのトロに匹敵するとも言われています。
魚独特の生臭さも無く、一度食べれば他のアジには戻れなくなってしまうかも知れません。
9月の関東地方の旬『サバ』
波が穏やかでエサが豊富という恵まれた環境で育つ東京湾のサバ。
秋には皮が脂で黄色に輝き、「黄金サバ」と呼ばれています。鮮度が命の青物なので、漁は「一本釣り」。
一匹ずつ丁寧に釣られ、さらに出荷される直前まで生かすことにこだわっています。手で触るとせっかくの黄金色が黒ずんでしまうため、釣れたらその身に触れることなく丁寧に針をはずします。
ここまで鮮度にこだわっている魚は他にはないかも知れません。
東京での代表的な食べ方
寄生虫の心配があるため、生食があまりできないサバですが、そこさえ見を瞑れば、あらゆる食べ方で美味しく食べることが出来ます。
皮身をあぶった「炙り」や「塩焼き」、さらには身を昆布で〆ての「寿司」など。
お店によっては、塩焼きの身をほぐして出汁をかけて食べる「お茶漬け」などもサカナあり、濃厚な脂とさっぱりとした出汁とを一緒にサラサラっと箸でかき込めば、何杯でも食べれてしまうだろう。
<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>