船釣りをしていると、陸からは見ることができない史跡や工業地帯など社会科の教科書にもでてくるような風景を特等席で見ることできる。代表的なものを紹介するので実際に釣りをしながら風景をみて、その建物や史跡の歴史や社会的な役割を調べてみよう。
戦前からの遺跡
戦前に東京を守るために作られた要塞の跡が東京湾にはいくつかあるのをご存知だろうか?沖釣りの際に見ることのできる2つをピックアップしてみた。
第2海堡(かいほ)
明治~大正にかけて、近代化が進む首都・東京を、海からやって来る他国の脅威から防衛するため東京湾の富津岬と横須賀の中間点付近に築かれた海上要塞。10年以上前は渡船が出ていたが、現在は老朽化のため特別な許可を得た場合以外には上陸できない。
現在は、海上災害防止センターの消防演習場となっていて、訓練をしている様子がわかることもある。
周辺はタチウオやマゴチなどの好釣り場として有名で、それらを狙う乗合船で見ることができるかも。
猿島
東京湾唯一の無人島で、横須賀から渡船が定期的に出航している。この猿島も第2海堡同様に要塞としての役割があり砲台跡などが残る。
周辺はタチウオやアジ、カサゴやイシモチなどの格好の釣り場で、これらを狙う船から見ることができる。
京浜工業地帯
東京都と川崎、横浜などに広がる京浜工業地帯、東京都から千葉県に広がる京葉工業地帯。どちらも日本を代表する大工業地帯だ。
鉄鋼などの重化学工業や食品や繊維などの軽工業まで多くの企業が集まり世界中の船が大量の資材などを積みやって来る。これらの内部は関係者以外は入れないことがほとんどだが、海上からは巨大なクレーンでコンテナを運ぶ様子などをみることもできる。
夜には照明が煙突の煙などと相まってなんとも幻想的な風景となる。
LTアジや、メバル、カサゴ、マダコなどの釣りではこれらの周辺を狙う。釣りの手を止めてみて、この施設はどんなことをするためのものなのか、想像して、地図を頼りに調べてみてはどうだろうか?
東京湾は世界有数の船舶密集地帯
東京港や横浜港に出入りする船舶は1日に約500隻ともいわれる世界でも有数の船舶密集地帯。
もちろん、釣り船もそんなひとつ。その多くは釣りがしやすいようにイスが付いていて、竿を入れておく穴が開いていたり、パイプが設置されている。また、足元には、魚を生かしておくための、くみ上げた海水が流れる循環ポンプが付いていることも多い。
このように多くの船は、用途や目的に合わせて形や大きさもさまざま。どんな特徴があるのかをまとめてみるだけでもその船の役割がよく分かる。
横須賀周辺などでは、自衛隊やアメリカ軍の船や潜水艦を見る機会もあるが、空や海からの長距離ミサイルなどの脅威を察知し、防衛する際の要となるイージス艦は、艦橋部に8角形の板状のレーダーが付いているので、意外と簡単に見分ける事ができる。
また、伊豆諸島などへ行く超高速船ジェットフォイルも、他船とは明らかに異なるスピードと、速い推進力を得るための独特の形状ですぐに気づくことができるはず。
そのほかコンテナ船や、カーフェリー、天然ガスなどの運搬を行う船など、どんな船をみることができるか調べてみて子供と一緒に夏休みの自由研究にいかがだろうか?
<週刊つりニュース関東版 編集部/TSURINEWS編>