茨城県の水深100m以浅でイシナギ(モロコ)が釣れると聞き、茨城日立港久慈漁港のモンロー号から出船した。試釣も含めてレポートしよう。
(アイキャッチ提供:APC・鈴木俊洋)
目次
イシナギ(モロコ)の生態
関東北部では「スネヤ」、東京湾付近では「モロコ」と呼ばれ、日本近海で大物釣りのターゲットであるその魚は、和名「オオクチイシナギ」。
最大はなんと200kgに達し、水深400~600mに生息。
産卵で100~200mの浅場に上がってくる。茨城北部の日立沖では8月から9月にかけて、5~30kgの小型ではあるが、水深100m以浅で釣れるというから驚きだ。
まずはイシナギ試釣から
7月14日(日)、茨城日立港久慈漁港のモンロー号へ。
5時、小雨が降るなか、港を離れる。「数週間前から小型のイシナギが姿を現し始めた」と聞き、山﨑船長に無理を言って船を出してもらった。試釣に参加したのは私を含めた10人。
本命1尾目は5㎏サイズから
航程1時間で釣り場に到着。期待半分、不安半分。祈りを込めて投入する。
開始から1時間経過。静かだった反対舷から「食った!」の声。姿を見せたのは、残念ながら大型のクロアナゴ。
次の流しで、私の竿が、一気に海面に突き刺さる。一年ぶりのこの感触、強烈な引き込みを堪えながらリールを巻きあげる。
やはりこの釣りは、楽しい!やがて姿を見せたのは5kgの本命だ。この1尾を皮切りに、あちらこちらで竿が曲がる。
8.6kg頭にオデコなし
先ほど、クロアナゴを釣り上げた女性客が「リールが巻けない」と騒ぐ。
それもそのはず、この日一番、8.6kgが上がってきた。この日は竿頭4尾、オデコなしで上々の結果だった。
イシナギ乗合船スタート!
7月21日(日)この日からイシナギ乗合船が本格始動。茨城でこの看板を掲げる船はモンロー号だけだ。
前回、何回かハリスを切られた。今回は少し太い仕掛けで臨むことにする。
太陽が昇りきる前の9時前後までが勝負だ。岩礁帯に生息するこの魚は岩陰の間を回遊しながら獲物を探す。群れにうまく当たれば、船内全員の竿が一気に曲がることもあり得る。
アタリとアワセ
開始の合図と同時に仕掛けを落とす。オモリが海底に着いたら2~3mタナを切る。最盛期は、5m以上、上げることがある。
この魚の前アタリは、とても小さい。竿先を揺らすくらいの小さな反応が続いたあと引き込まれるが、ここでアワせてしまうとスッポ抜けることが多い。やがてくる大きな引き込みを待って、竿を立てるように大きくアワせる。
小型なら、一気にこちらを向かせて巻き上げることはできるが、10kgを超えるようになると難しい。根に潜られないようにいなしながら手巻きで5~10m巻き上げる。
やり取り
根から離したら、電動リールのスイッチを入れる。最初から電動に任せてしまうと、焼きついて故障することがある。水圧の変化に強いため海面まで暴れる。
昨年、私の最大は18kgだったが、ハリを曲げられたことが数回ある。なにもさせてもらえず、ハリスを切られたことは何度もあった。
24日は船中42尾で早上がり
この日の実釣報告は次回に持ち越しさせていただくが、船長から連絡では、7月24日(水)は「3~10kgが9人で42尾。9時に早上がりしました」との話。
本格始動に入った「イシナギ」。早い時期に一度お試しいただきたい。
血抜き処理とイシナギの食味
最後は食味について。血抜きをした場合としなかった場合で、食味はまったく変わる。私の主観だが、刺し身を例に紹介しよう。
血抜きをしなかった場合は「身の色が赤みを帯びて、身質は少々軟らかくなる。濃厚な旨味の陰に若干の血の香りを感じてしまう」。
血抜きをした場合は「身の色は白色が強くなり、身質が硬くなる。残念ながら旨味は抑えられてしまうが、ほとんど癖がない万人向けの味になる」
この魚の肝はビタミンAを多く含有するため、食中毒を起こす可能性がある。危険なので決して食べないように。
<週刊つりニュース関東版 APC・鈴木俊洋/TSURINEWS編>