天の川の本流筋は、川迫ダムより下流は全域で成魚放流され、3月10日の解禁日は大変な混雑ぶりだったようだ。サオ頭で108匹、あとは20~50匹の方も居たようだが、渇水に加え、水温も低く、釣り人の熱気とは反対に、アマゴの活性にはムラがあったようだ。逆に言えば、多くのアマゴがまだたくさん川の中に存在しているということ。そこで3月16日、奈良県吉野の奥座敷を流れる天の川へ、アマゴ釣りに釣行した。
今シーズン初のアマゴ釣り
実は、私にとってこれが今シーズン初の釣行だったが、16日はあいにく雪の予報、朝4時の気温はマイナス1度。実家に父を迎えに行き、天川村に到着したのは、6時過ぎ。身支度を整え、早速出発。
目指すは本流筋ではなく、天然アマゴ狙いで九尾(つづらお)谷へ。流れは1本なので、中流域に駐車し、父と上下に分かれて釣り進んだ。
当日のタックルは、サオ5.3~4.5mのズームザオ。水中イトはアユのトモ釣りで使用する複合メタル0.05号、ハリはカッパ極5号。ラインに比重があるから、小さめのオモリでポイントに届けられるのがメリット。
今季第一号は10cmオチビ
上流担当の私は、まずは定石通り、深めの流れへサオを振り込む。エサは初期なので生イクラ。
ゆっくりと水面を滑る目印がツツッと止まったので即アワセ。
水中でギラッと光って、ぴっかぴかの谷アマゴがタモへ。今年の第一号ながら10cmのオチビ。しかし、側面にくっきりと表れたパーマークは、やはり谷アマゴならではの美しさ。
フォーセップで素早くハリを外し、同じ流れへそっとリリース。
ヘチや浅い瀬狙いが的中
ここから同じような深みのポイントへ仕掛けを打ち込んでいくが、どうも反応がない。山肌に少し巻きながら登ると、足跡発見。恐らくは解禁日に誰かが探ったようである。
ここから“いかにも”な淵のポイントは1投で反応がなければ見切り、淵尻のヘチや浅い瀬に狙いをかえてみた。
ググンッとサオ先を絞り込んだのは、やはり見落としがちな浅い瀬。足首ほどの水深でも、周りより少しでも掘れ込んだ筋で、狙った通りに目印が走るのは爽快だ。この谷での最長寸は18cm、朱点のちりばめられた美しいアマゴが出た。
下流担当の父は、頭上の木の枝をものともせず、やはり美しいアマゴを数匹ゲット。だが、二人とも数は揃えられず、もう少し下流の谷、西の谷へ転進してみた。
後半は、西の谷へ
西の谷は、九尾よりもやや水量が多く、狙えるポイントは多そうだ。気になるのは、駐車スペースからの山の斜面の足跡…。そして天気予報通り、みるみるうちに吹雪となり、あたり一面、雪景色に。
足元に気を付けながら、浅瀬、小さな淵、目につくポイントにはすべて仕掛けを流していく。
ちなみに、頭上の木の枝が気になるので、サオでの振り込みはできないから、サオの穂先を目一杯曲げて、弓の要領で仕掛けをポイントに届けていく。ピュンッと仕掛けをポイントに打ち込み、イトふけを取る前に目印が上流へ。
軽くアワセを入れると、水中でギラギラとヒラを打つ。「うれしいなぁ!」
木の枝に注意して取り込んだのは、当日最長寸となった20cmのヒレピンアマゴ。
この要領で釣り進み、次のポイントへの移動で渡りそうな浅瀬で、いずれも目印を飛ばしてくれた。裏を返せば、先行者が淵を狙ったともいえる。