海釣りで釣れた小さな魚の中には、毒を持つ種類もいるため注意が必要です。特にハオコゼは防波堤でよく釣れ、背鰭の棘に強い毒を持ち、刺されると激しく痛みます。カサゴ類と混同されることもあるため、見分け方を知っておくことが大切です。この記事では、ハオコゼとカサゴ類の見分け方や釣れた際の扱い方、筆者が刺された体験談をご紹介します。
(アイキャッチ画像提供:椎名まさと)
磯でハオコゼとの出会い
ハオコゼは岩礁域の海岸、タイドプールでごく普通に出会うことができます。
主に岩の隙間であるとか、岩に生えている海藻ごと網で掬うと入っていることが多いです。そして網で掬ったハオコゼをバケツなどに移そうとするときに、悲劇が起こりやすいのです。

上記写真の個体は千葉県南部・館山の泥っぽいタイドプールで発見したもので、普通のハオコゼよりも茶色が強いように見えました。
ハオコゼは採集した場所により、色彩には若干の個体差があります。そしてその色彩は捕食者や餌を欺くのに役に立つのですが、厄介なことに私たちヒトの眼も欺いてしまうのです。
網で掬ってハオコゼが入っていた場合は、網の袋の部分を海に戻し、片手にプラケースなどの容器をもって、水ごと掬ってあげると刺されずにバケツに移すことができます。
観察をし終わって逃がすときも、同じように水ごとプラケースで掬えば刺される心配もほとんどありません。
ハオコゼは飼育できる?
ハオコゼはカサゴなどを小さくした感じで、飼育してみたくなりますが、飼育はやや難しいところがあります。
慣れれば配合飼料も食うようになる個体もいるようですが、最初のうちは生きたエビやヨコエビなどを与える必要があります。ベテランのアクアリストならばうまく調達もできますが、初心者には難しいでしょう。
また、温帯性である本種は、陸上では我が国の暑い夏を乗り越えるのも難しく、高価な水槽用のクーラーも必要になってしまいます。
そのようなこともあり、初心者向けの海水魚であるとはいえないところがあります。もちろん「飼いきれなくなった」「子どもが釣って来たので飼育したが、飽きてしまった」といって海へ放すのは厳禁です。
採集して飼うために、家にもち帰るまえに、飼育しようとしている魚はどのような魚なのか、その魚のことをスマートフォンなどで調べるようにしたいものです。

魚釣りとハオコゼ
ハオコゼは磯採集のほか、防波堤釣りでもお馴染みのゲストです。
オキアミを餌に防波堤のヘチを探っていると、釣れることがよくあります。底が岩礁であったり、海藻が茂っていたり、漁礁やタイヤ、カゴなどの廃棄物があるような場所ではハオコゼも多く居ついています。
また浅いところの魚というイメージが強いハオコゼですが、水深30メートルほどの深さを曳く小型底曳網漁業でも漁獲されることもあります。
釣れたハオコゼはハリ外しなどをうまく使って逃がしてあげましょう。針をのみ込んでしまった個体はハリスを切って持ち帰るようにします。
実はハオコゼは揚げ物などにすると美味しい魚なのです。
もちろん、防波堤に放置するのは絶対にやめましょう。ハオコゼだってかわいそうですし、子どもやイヌなどが踏んで怪我をするおそれもあります。
そして魚の死骸で防波堤や漁港が汚れてしまえば、その場所が釣り禁止(そもそも基本的に漁港は釣り禁止)になるおそれがあります。ですからハオコゼに限らず、持ち帰らない魚はかならずリリースしましょう。