伊藤さとしのプライムフィッシング。その日その釣り場で最良の釣りを目指す。1か月をメドに釣り方、エサ紹介など、実釣を交えて解説する第5回。今回のテーマは「真冬でも浅ダナセット?」。冬に強いと言われる段差の底釣り・チョウチンセットではなく、浅ダナを選択。一見不利に見えるが、条件さえクリアすれば速効性を持つこの釣りの長所が生きてくるはずだ。今号はこの釣り方の選択条件について考えてみる。
真冬でも浅ダナセット?
今月のタイトルに?マークが入っているのにお気づきだろうか。
「それは冬にやる釣りじゃないからだろ。真冬は段差の底釣りかチョウチンだろ。風に弱い釣りだからね
などなど、読者からはお叱りの言葉をもらいかねない。
つまりタイミングが合っていない?このことをあらためて伊藤に尋ねる。
「確かに風には弱いよね。小ウキだし、道糸のフケも出るしね。だから、条件付きってことにはなるんだけどさ」
その条件とはズバリ風ですか?
「そうだね。次に魚の活性。最後に釣り座」
では、それぞれをかみ砕いていきましょうか。
風とは風向きと強さですよね。強風は論外だし、微風でも正面からではやりづらい。
「この釣りは落とし込みでの振り込みが必須だから、微風であっても向かい風は避けたい。逆に、風力が強くても、流れがない追い風ならOK。仕掛けの回収がちょっとやりづらくなるけどね」
次に魚の活性?厳寒期に紹介しているのですから、そもそも食いは渋いのでは?
「真冬なりの活性ってことになります。たとえば釣果表に段差の底釣りでしか釣果が上がっていないとなれば、浅ダナで打破するのは難しい。逆に短竿チョウチンセットでも釣れているなら、まだ可能性はある。」
浅ダナの利点とは?
それなら無理して浅ダナでなくとも、チョウチンでいいのでは?
「見落としがちなんだけど、真冬だろうと何だろうと、魚は上層にいるんだよ。とくにメーター規定を設けている釣り場ほど、その傾向は強い。しかもチョウチンで釣れているなら、その釣り座はおそらく水深がたっぷりある場所だと想像できる。つまり、浅ダナにも理想的なんだよね。
しかも水深がある釣り座で短竿チョウチンってことは、狙っているタナが中途半端だってこと。ということはメーター付近で食ってきてもおかしくないって理屈になる。」
なるほど。条件の項で最後に出てきた釣り座がここで当てはまるわけですね。
「そういうこと。水深があり、たとえ風が吹いても追い風気味。さらに、釣果表でも浅ダナまたは短竿チョウチンで釣れている。こういう条件がそろえば浅ダナセットを選択しても面白いよね。」
ちなみに深いタナでのチョウチンが釣れているのは無視ですか?
「底、または底付近を狙う釣り方でしか釣果が出ていないなら、底層の魚しか口を使っていないということになるから、浅ダナを選択するのはリスキー。ただし、直近数日の天候が大荒れで浅ダナをやっていなければ釣果表には出てこないから、釣行日前の天候情報も加味しておくべきかな。」
ここまでは理解しましたが、それでも理由付けとしては弱くないですか。
〝これなら浅ダナセットをやるべき、選ぶべき〟みたいなインパクトある言葉が欲しいところです…。