食用の「つぶ貝」は30種以上 真つぶ・磯つぶ・毛つぶ・青つぶ・Aつぶ・Bつぶなど多彩

食用の「つぶ貝」は30種以上 真つぶ・磯つぶ・毛つぶ・青つぶ・Aつぶ・Bつぶなど多彩

スーパーへ行くとたびたび見かけるつぶ貝と呼ばれる貝たちですが、似た名前や種類が多くしばしば混乱してしまいます。この記事ではつぶ貝についてご紹介します。

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(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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サカナト編集部

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「つぶ」「バイ」は巻貝の総称

「つぶ」または「バイ」はエゾバイ科に属する巻貝の総称で、主にエゾボラ属とエゾバイ属のことを指します。エゾバイ科の巻貝は種類が多く、市場流通するものは30種を超えるようです(テトラミン(ツブ貝)による食中毒-札幌市)。「つぶ」は北日本が主な産地で、籠漁により漁獲されます。

最も一般的かつ高価な「つぶ」はエゾボラと呼ばれる巻貝で、殻を含めた目方は1キロ程になるとか。別名「真つぶ」とも呼ばれることからも分かるように、味が非常に良いことが知られています。需要が高く非常に高い値段で取引されることもあるようです。日高は真つぶの産地としても有名であり、日高の真つぶはプライドフィッシュに選定されています。

エゾボラによく似た標準和名を持つ同科の巻貝にエゾバイがいますが、こちらは通称「磯つぶ」と呼ばれる真つぶよりも小型な巻貝です。北海道でつぶ貝と呼ばれる巻貝は多く、オオカラフトバイ(灯台つぶ)、アヤボラ(毛つぶ)、ヒメエゾボラ(青つぶ)など様々。アヤボラはコンビニで販売されているつまみのつぶ貝の原料でもあります。

つぶ貝には毒がある?

種類が多く味も良い「つぶ」たちですが、中には唾液腺にテトラミンと呼ばれる毒を持つ種類も存在します。

食用つぶ貝ではエゾボラ、ヒメエゾボラ、エゾボラモドキなどが唾液腺にテトラミンを持つことが知られており、摂食すると二日酔いのような頭痛、めまいに襲われます。また、テトラミンは加熱しても無毒化しないことから食べる前に除去することが必須です。

つぶ貝の唾液腺除去の方法は様々な地域がネット上で公開しているので、初めて調理する際には必ず確認しましょう。

「Aつぶ」?「Bつぶ」?

通常、「真つぶ」または単に「つぶ」と呼ばれるエゾボラですが、市場関係者の中では「Aつぶ」とも呼ばれることもあります。「Aつぶ」があるなら「Bつぶ」も存在するのか? と考えますよね。もちろん「Bつぶ」も存在します。

Bつぶと呼ばれるエゾバイ科の巻貝は複数存在し、Aつぶよりも安価であることから呼び名が付きました。代表的なBつぶはアツエゾボラで、エゾボラ同様にエゾボラ属の巻貝ですが、エゾボラと比較して貝殻が滑らかな印象を受けます。本種の他に、エゾボラモドキなども地域によってBつぶと呼ぶそうです。

白バイと黒バイ

関東のスーパーや居酒屋でもよく見かける白バイ、黒バイと呼ばれる巻貝たち。

一見、どちらも同じグループの巻貝に見えますが、白バイ(エッチュウバイ)はエゾバイ科エゾバイ属なのに対して、黒バイ(バイ)はバイ科バイ属の巻貝です。白バイはエゾバイ科に属するもののつぶ貝の名称で呼ばれることはほとんどありません。

食用の「つぶ貝」は30種以上 真つぶ・磯つぶ・毛つぶ・青つぶ・Aつぶ・Bつぶなど多彩黒バイ(提供:PhotoAC)

白バイや黒バイは主に日本海側が産地となっており、関東にも広く流通しています。

「つぶ貝」といわれる貝には実に多くの種類がいるのでした。また、エゾバイやエゾボラなど似た名前が多い為混同しないように注意が必要です。

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<前田/サカナト編集部>