ミノーといえばただ巻きで誰でも釣れるセットアッパーなどが有名だが、汗をかきながらのジャークで魚を魅了するジャーキングミノーで釣るのも格別の満足感がある。今回は、マグバイトから新しく発売された「デンプシーロール120SF」の使い方を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター夕日とぼうず)
大阪湾奥の春はセットアッパー?
これは私がホームとする大阪湾奥界隈に限った話なのかどうかは定かではないが、「春はセットアッパー」というパワーワードを何度も見聞きしてきた。水温がまだ低い春に釣れる青物といえば、低水温でも捕食活動を再開できるブリ級の大型個体。そんなブリを魅了するのが、比較的大きなベイトを演出するセットアッパーの97~125くらいになる、と聞いたことがある。
実際、昨年春の南港魚つり園の青物シーズンはセットアッパー祭りだった。体感では8~9割がセットアッパーでの釣果だった。筆者も急いでセットアッパー125S-DRを買い足したものだった。
ジャーキングミノー
さて、ただ巻きで釣らせてもらえるのはありがたいことだが、“自分の腕で釣ってやった感”をより味わいたいのもアングラーの性。この性を、イワシジグやイワシジグこつぶといったアングラーから支持されるマグバイトより新しく発売されたジャーキングミノー「デンプシーロール120SF」が満たしてくれそうだ。「デンプシーロール120SF」はアングラーによるジャーキングで釣るサワラ専用ミノーだ。
デンプシーロール
大阪湾で青物シーズンが始まる前より、プロアングラーたちが和歌山方面で「デンプシーロール120SF」による青物を連発していた。特にサゴシの釣果が目立っていた。まれにブリ属も交じる。アングラーの熱い視線を集めてきた「デンプシーロール120SF」がついに発売されたため、私は入荷日に近隣の釣具ショップで入手した
まず、小学生時代に『少年マガジン』を読んでいた世代として、どうしても突っ込みたくなるのが「デンプシーロール」というネーミングだ。そう、8の字で動きながらフックを叩き込んでいく、ボクシング漫画『はじめの一歩』で超有名なアレだ。「デンプシーロール120SF」もそういう動きをするんだろうな、くらいの浅い理解で購入した私だったが、調べてみるとこのネーミングがもつ意味は深いだろうことが推察される。
3大アクション
リップ付きルアーは次の3つに分類できるそうだ。「ウォブリング」のルアーは頭と尻を左右にブルブル振るアクションを、「ローリング」のルアーは軸を中心として左右に倒れるアクションを、そして「ウォブンロール」のルアーはウォブリングとローリングを併せたアクションをする、という。
簡単に説明すると、ウォブリングは強アピール力、ローリングはナチュラルな動きと強フラッシング、ウォブンロールはどちらの特性ももつためフィールドを選ばず汎用性に長ける、ということのようだ。そして、デンプシーロール120SFはウォブンロール型である。
ウォブンロールを生み出すフラットで分厚いボディ形状
汎用性高いウォブンロール
つまり、これ1本あれば、どのような状況でもアングラーの腕次第で、一歩の「デンプシーロール」よろしく8の字のようなウォブンロールの動きでサワラ属、ブリ属、シーバスを釣り上げられるということだ。実際、先のプロアングラーたちによる釣果には、ヒラスズキも混じっていた。強烈フラッシングジャークはかくもフィッシュイーターを魅了するようだ。アングラー魂に火がつく。
使ってみた
ケースから取り出してみると、側面がフラットな作り。20gウェイト設定で重さを感じる。ルアーの頭を上下させてみると、内蔵されたダングステンボールがよく動く。投げてみると、セットアッパーほどではないが、重心移動システムによって十分に飛ぶ。
着水すると、タチウオのように立って止まる。この姿勢から動きがスタートする。まずはただ巻きをしてみた。大きなブリブリ感は控え、ナチュラルに泳ぐ。このただ巻きでブリ属を狙いやすいそうだ。
ジャーク
ジャークをする前にドラグを思いっきりゆるめ、ジャークをするたびジッジッと音を立てて糸がすこし出るようにする調整が必要だ。これによって、ジャーキングによる水面からの飛び出しと、サゴシの身切れを防止する。
ジッジッと音を鳴らしながら竿を下に向けてワンピッチジャークを連続させる。ビッビッと力強くダートする。ダートするたびに、ギラッギラッと眩しくフラッシングするのがわかる。これが、フィッシュイーターを遠くから呼び寄せるようだ。また、ダート後はピタッと静止する。これが、サワラ狙いに良いらしい。
サワラ専用
すでに気付いている方も多いだろうが、「デンプシーロール120SF」は「サワラ専用ジャーキングミノー」となっている。「サワラカッター」の言葉があるように、サワラはしばしばラインブレイクを起こす。
このサワラカッターは、サワラの捕食が下手だからではなく、ミノーが止まらず惰性で動くことによるミスバイトが原因であるという。これを解決するため、スローフローティング(SF)設計としたのが、サワラ専用ジャーキングミノーと冠した所以らしい。
ちなみに、ジャーキングはより重さを感じる潮と方向に投げるほど釣れやすい、とあるプロアングラーから聞いた。これからの季節、一日中ジャーキングすると汗だくになり、翌日には筋肉痛になっていそうだが、それだけに自分の狙いどおり釣り上げられたときの達成感、満足感は大きいのだろう、と夢を広げながらこの日、ジャーキングの練習を続けた。
使い方解説動画
<夕日とぼうず/TSURINEWSライター>