潮干狩りといえば二枚貝を掘るもの! というイメージが強いですが、実は同じ場所で美味しい「巻き貝」をゲットすることも可能です。
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潮干狩りは一年中できる
海で行われる人気のアクティビティのひとつ・潮干狩り。干満の差が大きい日に、潮の大きく引いた砂浜を掘り返して、アサリやハマグリのような美味しい二枚貝を採るもの……という説明はいまさらするまでもないでしょう。
そんな潮干狩り、一般的には春から初夏にかけてのアクティビティだと思われていますが、実際は一年を通して潮が大きく引くタイミングがあり、潮干狩りをすることも可能です。
それにもかかわらず、潮干狩りが春から夏に行われるのは、潮が引く「時間」が大きく関係しています。
冬の潮干狩りは「真夜中」に行う
干満の差は地球と月、太陽の位置関係によって発生するのですが、その時間は一年の間で丸1日ほどの差が出ます。潮干狩りに向いているのは最も大きく潮が引く「大潮の干潮」のときなのですが、春から夏にかけては大潮の干潮が「日中」に起こるのに対し、秋から冬にかけては「夜間」に起こるのです。
したがって、今の時期に潮干狩りをするのであれば、真夜中に海に行く必要があります。寒風吹きすさぶなか、ただでさえ寒そうな海辺に向かうのは非常に辛そうに思えますが、実際のところ夜間は海水が溜め込んだ熱を放出するため、内陸部よりも海辺のほうが暖かいことも多いです。
加えて、実は一年で一番潮が大きく引くのは冬の夜中であり、ベストなタイミングで海辺に向かえば、手つかずの広大な干潟が広がります。ライバルも少なく、満足度の高い潮干狩りを行うことが可能になるのです。
砂浜にいる美味しい巻貝たち
さて、そんな「冬の夜中の潮干狩り」で採りたいターゲットは、二枚貝だけではありません。というのも、夜中は移動性の高い「巻貝」たちが盛んに活動するため、そのような貝を採るのも容易になるのです。
潮干狩りで二枚貝と一緒に採取することができる巻貝は、砂浜に生息するもの。有名なものにアカニシがあります。アカニシはアサリやカキを食べる肉食性の巻貝で、貝の養殖の大敵ですが、その味はとても良く、サザエをも凌駕すると言われています。刺身やつぼ焼き、バターソテーなどで美味しく食べることができます。
同じく肉食の巻貝にツメタガイというものもあります。こちらはアカニシよりもやや生臭みが強く身が硬いという欠点がありますが、醤油でじっくり煮たりおでんの具に入れると、柔らかく美味しい味わいになります。
ちょっと変わったところでは「ながらみ」という貝もあります。こちらはキサゴという貝類の総称で、砂に半分潜りながら微生物などを食べています。身が柔らかく、さっと塩ゆでにして食べると旨味と甘味が強く非常に美味です。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>