若狭湾に北西の風が吹くようになってくると、はるか南の海域からの回遊が見られるタルイカ。標準和名はソデイカと呼び、山陰~北陸地方の職漁船がウキの代わりにタルを用いた「タル流し漁」を行うことが、その名の由来とされている。今回はこのタルイカをイカメタルで狙う釣り方を解説しよう。
ルアーについて
主にタルイカのメインベイトとなるスルメイカやマイカをイミテートしたものが多く、その動きもフリーフォールでは水平姿勢で比較的スローに沈み、シャクリアクションも直線的な至ってクセのないものが主流となっている。重さも200g前後のものがほとんどで、これらを潮流や主に狙うレンジに合わせて使用をする。
最も大事なことはポーズ中にアタリを取って掛けることの多いこの釣りにおいて、アングラーが故意に止めているときに潮流の影響などを受けず、無駄な動きをしない特性を持っていることと考えている。
また同船者とのオマツリのトラブルを極力防ぐ左右への動きが少ないことも大切ではないだろうか。
ルアーのカラー選択について
カラーリングに至ってはコンセプトに応じて、単色のシンプルなものが主流だ。
使い分けに関しては、シーズン初めやシケ後の高活性が見込めるタイミングにおいては、オールグローやブルーグローといったハイアピールなものを、同船者の多くが同系のカラーを使用しているときや、凪の日が続いてどぎつい発光にスレている感覚があるときなどは、ピンクやチャートといった光量を抑えたものをセレクトしたりする。
また、集魚灯の光が著しく届いていると思われるような浅いヒットレンジを攻める場合は、あえてブラックなどの暗いカラーをセレクトしてシルエットで見せたりする。
メインベイトがイカ類ではなく、サバやイワシといったベイトに着いている場合は、メタリックやラメといった反射系のカラーをセレクトしたり…、というのも戦略的で功を奏することが多いのも事実だ。
投入と落とし方
ポイント到着後、まずは魚探に映るベイト感度や船長のアドバイスをもとに、おおよそヒットレンジをイメージしてルアーを投入する。この際ルアーの鼻っつらを上げるイメージで強めのサミングをすることで、素早いフォールが可能になる。
当然その際もアタリがある可能性はあるので、イトフケの変化などに注意を払おう。
まずはレンジを幅広く釣る意味で、狙ったレンジの上限から下限へと誘い下げで狙い、下限に達したところで今度は誘い上げにシフトといった具合に、往復でレンジを探ることが効率的だ。
誘い下げと誘い上げ
誘い下げの方法としては、ルアーのバランスを崩すイメージでひとシャクリ入れた後、3~5mのフリーもしくはテンションフォールを行う。
また以上の動作は、クラッチを切った状態でサミングのみで行うと、スムーズにこなせるようになる。
次の誘い上げに関しては、スロージギングの要領でゆっくりとしたロッドワークを行い、リーリングも交えて3~5mシャクり上げた後、一瞬ルアーのテールを上げるイメージでフォールを入れるというのが基本的な誘いと考えている。
リフト&フォール
またヒットレンジが絞れてきたところで、リフト&フォールで攻めることが多いのだが、ヒットレンジまで誘い上げてからポーズ、逆に落とし込んでいってポーズといった具合に、いずれにしても決め手はアクション後のポーズと言える。
「シャクって見せて」、「フォールで追わせて」、「ポーズで抱かせる」というイメージを常に持つことが大事だ。