九州地方の磯で釣れる根魚と言えば、アカハタやアラカブ(カサゴ)が代表的。いずれも釣り上げた時にエサを吐き出す場面をよく見る。今回は、この嘔吐物について迫ってみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター松田正記)
根魚のエサ
根魚が好むエサは小魚、エビ、カニなど。体が小さいうちは「狩り」が苦手なためか、カニやエビが中心で、中~大型になると、キンギョ(ネンブツダイ)やイワシゴ、キヒナゴなどの小魚を食べる。
丸のみ
ベテランの釣り人によると、「捕食する際は一旦、舌で転がすようにしてエサを確認し、違和感がなければ丸のみする」と口を揃える。釣り上げた直後に吐き出したエサを見ると、ほとんどが原型に近いため、丸のみしていることがわかる。
エサを吐き出す理由
エサを吐き出す理由は、ハリを外そうとするためではないだろうか(個人的な見解)。オキアミボイルで狙うヒラマサなどの青物釣りでもよくある。掛けた魚を近くに寄せた時、サオ下一面にたくさんのボイルが浮いているシーンがそれだ。
消化するまで
それでは根魚の捕食から消化までを解説する。養殖業者の話では「魚のサイズや食べたエサの種類によって多少変わるが、おおむね一週間ほど」と言う。捕食直後に吐いたエサは、ほぼ原型で、2~3日前に食べたものは頭だけ形をとどめ、胴から下は消化しかかっている。
不思議なことにエサ(魚)の目だけがはっきり残っていて、魚種まで分かる。写真はネンブツダイ。ちなみに消化する少し前のものだと、魚の種類まではわからないものの、なんとなく形は残っている。
違和感を持ったら
参考までに根魚がエサを食う時、違和感を持ったら、胴だけかじって逃げることがある。まるで人間のエサだと気づいているかのようだ。例えばキビナゴをハリに刺した際、前アタリだけで終わってしまい、仕掛けを回収すると頭だけが残っている。魚に言わせると、「ハリが邪魔で丸のみできない」のかもしれない。
マニアックな珍味?
最後にマニアックな例を紹介。この嘔吐物、漁師のなかには、珍味として美味しく食べる人もいるから驚きだ。そのまま食べると「骨が軟らかくなっていて、うまい」そうだ。ただ、素人は遠慮しておこう。
<松田正記/TSURINEWSライター>