最近、養殖の現場で「地下海水」というものに注目が集まっているようです。ひところ話題になった「海洋深層水」とは違うのでしょうか。
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地下海水とはなにもの?
地下海水はその名の通り「地下から採取された海水」です。と言っても海底から採取されるのではなく、海岸に近い場所に掘削した井戸から採取されます。
海面より低い場所では地下水が塩気を帯びており、これは通常の井戸水として利用するのには向かないのですが、海水として利用する分には問題がありません。さらに言えば海面より採取される海水と比べ水温が一定である、水質が優れているなどのメリットがあり、養殖用に利用するのに大変向いているのです。
同様のメリットがあるものとしては「海洋深層水」が知られており、こちらも養殖に活用されることがあります。しかしこちらは水深200m以深から採取しないといけないため費用がかかり、岸に近い場所から急に水深のあるような海岸でないと採取することができないため場所の制約も大きいです。
地下海水は10~数10mの掘削で採集ができ、設備も簡易的なものでOK。全国に数か所掘削施設があり、陸上養殖や、海水温上昇の影響を受けやすい海藻の養殖などで用いられているといいます。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>