待ちに待った渓流解禁。渓流釣り入門に際し押さえておきたい知識はいろいろあるが、今回は実際に釣るうえでしっかり覚えておきたい渓流釣りのエサについて解説しよう。
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川虫が万能のエサ
川虫が最も食いの立つ万能エサ。日ごろ、渓流魚が捕食している川虫なので警戒心を抱きにくい。採取する手間暇はかかるものの、その労力は釣果を約束してくれるだろう。市販エサで何度流してもアタリが出ないのに、川虫だと、どこから湧いてきたのか驚くほどのアタリが頻発する。
中でも、ヒラコ、キンパク、ピンチョロは、食い込み抜群なので採取しておきたい。しかし、場所によっては川虫採取が困難な場合がある。予備エサとして市販のブドウ虫やミミズを忍ばせておけばよいだろう。ただし、他の釣り師も同様に使用しているので、先行者など競合している場合は、食い込みが極端に落ちるので留意しておきたい。
他には、初期だとイクラを使った釣り方も抜群の釣果が上がるようだ。また、季節が進んでくると水温もぬるみ、特に5月以降の雨後には、ミミズが抜群の食いをみせる。
ヒラコ
最も食いの良いエサといっても過言ではない。ただし、保存は難しく生きても一日程度。本名はヒロタカゲロウと呼ばれ、地域によってヒラタ、チョロなどと呼ばれているが、九州ではヒラコと呼ばれている。3月ごろは、起こし虫と言われ、流れの緩い石を持ち上げると、石裏にへばりついている。これを潰さないようにはがしてエサ箱へ入れていく。
足が取れると弱りも早く食いも悪くなるので、採取に慣れていない方はピンセットなどを使うと良い。4月になるとナデ虫と言われ、白泡の立つ流速のある大きめの石に付く。これをヘチマやブラシでなでて下にタモを置くと一網打尽で採れる。
キンパク
3月によく採れるが、4月には羽化するので使用期間が短い。しかし、保存も効いてハリ持ちも良く、体全体が黄色く発色しているので、水中で目立つのか食いも抜群。初期の釣りでは外せないエサ。しかし、生息する場所と数が年々減少傾向に感じている。
総じて、岸近くで、ひざ下までの小石が敷き詰められたザラ瀬に生息している。下流側に網を立てて、足で小石を転がすと大量に採取できる。中には、あまり黄色味の少ないカワゲラもいる。これをギンパクと呼んでいる。やや食いも落ちるが、釣れないわけではないので、キンパクが採れない場合に代用している。冷蔵の野菜室に保存すれば4日程度は元気に生きている。
ピンチョロ
本名はフタオカゲロウ。細長い流線形をしており全長1cm程度。ピンピンとも呼ばれており、一見すると小魚が遊泳しているかのように映る。本流域や里川で、流れに通じる水溜まりに多く生息している。4月になるとよく水たまりで見かけ、川虫採り網ですくえば一網打尽。
保存期間は、ヒラコ程難しくないが総じて短い。軟らかな体で泳ぐ虫のために、誘い効果もあり、食いつきも良い。また、ライズを見かけたら、これをちょん掛けして、フライ・テンカラ釣りのように表層釣りで抜群の効果をみせてくれる。
クロカワ虫
体長20~30mmの黒色でくちばしがあり、手に持つとかみつく場合があるので注意してほしい。本名はトビゲラとも呼ばれ、本流域や少し濁りの入った里川で、良型・大物狙いで、積極的に使用したい。一方で、渓流域では食いが芳しくないことも留意しておきたい。
瀬肩や瀬脇の水通しの良い緩い流れで石裏に巣を作って生息している。一度に大量に採取すると、互いにかみ合って絶命してしまう。元気なうちは張りもあるが、弱るとしなびて二つ折れになってしまう。こうなると、極端に食いも落ちるので注意したい。
保存方法は、気温上昇に大変弱く、首掛けの竹製の編み込んだエサ箱に多くのヨモギを入れ、休憩時などで、定期的に水流に浸しながら釣ると長持ちする。それでも一日持たないエサなので、こまめに採取しながら釣ること。
<週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞/TSURINEWS編>