11月14日、水温が下がってチャンスと読み、三重県・錦へ底物狙いで釣行した。残念ながら本命は不発に終わったが、特大カンダイをキャッチしたので、その模様を紹介する。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・松本浩)
ドラグ滑らす大物ヒット
そのとき、サオ先がフワフワと動いた。あっ、アタった。安井君とサオ先を見つめる。2回ほどサオ先がアタって戻ったとき「またウツボくさいね。イシダイならもうサオが突っ込んでいるはず」と言った途端、サオはグーっともたれ掛かり、一瞬間を置いて一気に海中に突き刺さった。
わりと強めに締めていたドラグからミチイトがズルズル出ていく。「でかい!」と直感してサオを起こす。しかし、体ごと持っていかれ、またサオ先は海中に。これは記録級のイシダイかも…。
巨大カンダイ浮上
腰を完全に落とし、あと5cmで尻餅という態勢で体重を全て後ろに掛けてこん身の力でリールを巻く。底物釣りでは魚が人間を上回った瞬間に根に入られ全てが終わる。隣で安井君が「すごい、すごい!」と声を上げている。
サオを上げては巻く。ポンピングを繰り返すが、ヤツは信じられない力を出し、またサオ先が海中にキスをする。
やっとの思いで海面を割った怪物は赤い!そう巨大カンダイ(コブダイ)だった。70cmのイシダイを想像していた私の力が一気に抜けた。
安井君がタモですくい上げてくれ、重さを計測すると84cm9.4kg。イシダイではなかった悔しさと、15年ぶりに対面する巨大カンダイを獲ったうれしさが交錯する。
その後は潮が悪く、アタリのないまま終了した。磯のゴミを拾い、割れたサザエの殻を掃除して迎えの船に乗った。
刺し身とアラ汁で絶品
帰宅後、魚をさばいたが、太く強い骨は包丁では歯が立たずのこぎりを使った。胃の中を検査すると、カメノテが原型のまま30個以上出てきた。
朝から足元にカメノテ等をパラパラまき続けたこと。まきエサが効いたころに足元狙いに変えたこと。カメノテが落ちてくるたびに拾っていたカンダイは警戒心なく食べたのだと納得した。
カンダイの刺し身とアラ汁は、くさみがなくプリプリした触感で、私が釣って食べる魚の中で最もおいしいと改めて実感した。カンダイが釣れたら、ぜひ食べることをお勧めする。これほどおいしい魚を私は知らない。
<週刊つりニュース中部版APC・松本浩/TSURINEWS編>