世界最大規模の養殖量を誇る『サバヒー』 味はサッパリした「サバ」?

世界最大規模の養殖量を誇る『サバヒー』 味はサッパリした「サバ」?

サバヒー、という魚をご存知でしょうか。日本ではほぼ馴染みがないですが、東南アジア周辺では非常にポピュラーな魚で、盛んに養殖が行われています。

(アイキャッチ画像提供:茸本朗)

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台湾の「サバヒー」輸出が拡大

台湾南西部に位置し、「台湾の京都」と呼ばれる古都・台南市。ここで盛んに養殖されている特産の魚「サバヒー」の、米国向け輸出品がいま盛んに出荷されています。

世界最大規模の養殖量を誇る『サバヒー』 味はサッパリした「サバ」?サバヒー(提供:茸本朗)

台南は台湾有数のサバヒーの養殖産地として知られています。輸出業者によれば、これまではサバヒー丸々1匹を冷凍し、そのままの形で輸出していたといいますが、最近では部位ごとに加工し、腹部の身や骨なしの開きなどに分けて包装し、冷凍しているそうです。

これにより、受け取った小売業者がそのまま売り場に並べることができます。アメリカの消費者は丸の魚を加工することにあまり慣れていないために、この様な加工を行うことで輸出拡大につながったと業者は語ります。日本の養殖・輸出業者も見習える方法かもしれません。

サバヒーとはどんな魚か

漢字では「虱目魚」と書かれることもあるサバヒー。ネズミギス目サバヒー科という独立したグループの代表種です。大型の魚で、1.5mを超えることもあるそうですが、養殖では40cmくらいまでのサイズで出荷されます。

サバヒーは東南アジア周辺の温暖な海域に生息し、日本近海ではほとんど漁獲されない魚です。見た目はボラやイワシ、トビウオなどに似ているため一見すると見慣れた魚にも思えますが、切れ込んで長く伸びる尾びれなどはこれらの魚と大きく異なっています。

世界最大規模の養殖量を誇る『サバヒー』 味はサッパリした「サバ」?身の白さから「ミルクフィッシュ」と呼ばれることも(提供:PhotoAC)

サバヒーはその大きさの割に草食性で、藍藻などの植物プランクトンを食べています。柔らかい白身で脂がよく乗り、乳白色になるので、英語圏では「ミルクフィッシュ」と呼ばれて親しまれているようです。

「世界一の」養殖魚・サバヒー

サバヒーは海水から汽水まで生息できる強い魚であることに加え、植物性プランクトンの餌で育てることができ、さらに食味も良いので、古くから生息域では食用として人気が高い魚です。

台湾では17世紀頃にはすでに簡易的な養殖が始まっていたそうで、現在では最も多く養殖されている魚になっています。東南アジア各国でも養殖が行われているため、単一の魚種では世界最大の養殖生産量を誇る魚だという説もあります。

世界最大規模の養殖量を誇る『サバヒー』 味はサッパリした「サバ」?虱目魚粥(提供:PhotoAC)

台湾ではお粥の上にサバヒーのあんをかけた「虱目魚粥」という料理が人気で、専門店もたくさん存在しています。日本では生の魚を見かけることはほぼありませんが、アジアンマーケットで購入することができ、実際に料理して食べることができます。ちょっとさっぱりしたサバのような味わいで食べやすく、日本でも流行りそうな味わいかと思います。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>