秋の沖釣りの好ターゲット、カワハギ。群がるエサ取りをかわしてハリに掛けるゲーム性、フグにも劣らぬ食味など、その魅力を紹介しよう。
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いざ実釣
さて、いよいよ実釣だ。ポイントに着いたら、落ち着いてハリにエサを刺し、船長から開始の合図が出たら仕掛けを投入する。底を取ったら、積極的に誘いをかけていこう。
ちまたでは、タタキ釣りやたるませ釣りなどさまざまな釣法が知られているが、まずは仕掛けを小刻みに上下したり、大きく持ち上げて落としたりしよう。こんな誘いはNG!ということはないので、どんどんサオを動かして誘っていく。

当然ベラやキタマクラなど、エサ取りの猛攻に遭うことも多いだろう。まずはいろいろな魚を釣ってその魚のアタリの出方、引きを体で覚えること。そしてその中で、本命をキャッチできたら、どんな誘いで食ってきたか、どんな引きだったのか、しっかり頭の中にインプットしておこう。
もちろんYouTubeや釣りの総合サイトなどでの下調べや誘い方などを予習していくことも大事だが、大事なのはそれを実践して得た経験だ。予習したメソッドを駆使して釣った1匹がゲストでも、「なんだフグか」と何も考えずにリリースするのと、「今のがフグのアタリと引きか……」と経験をインプットするのでは、その後の上達速度に雲泥の差が出るのだ。

最初は貧果で終わるかもしれないが、釣果以上の収穫は経験。どんな釣りでもそうだが、経験に勝る上達方法はない。
カワハギ釣りは特に奥が深い。経験豊富なベテランほど、道に迷うことが多いとも聞く。だが、始めるためのハードルは非常に低い。また総じてアタリが多い釣りなので、退屈することがほとんどない。
ハリ交換は頻繁に
前述したが、カワハギ釣りは非常にハリを消耗する。カワハギの口は非常に硬く、ハリが刺さりにくい。また岩礁帯を釣ることが多く、ハリ先が鈍ることも多い。そのため1投ごとにハリ先は必ずチェックし、少しでもなまっていたら必ず交換しよう。
またカワハギはもちろん、ゲストでも1匹釣ったら目に見えないハリ先の損耗が発生する。どんな魚でも1匹釣ったら、ハリを交換すること。そのため仕掛けは、ハリス止めを用いたものの方が交換しやすい。

またこの釣りは、底付近をメインに攻める釣りだが、意外に上層を攻めるといい結果が出ることがある。カワハギはベラやフグ、カサゴのように底付近にだけいるわけではなく、意外に上まで浮く。
例えば水深20mのポイントであれば、底から5mぐらいまで上げてアタリを待つのも手だ。上でヒットした場合はカワハギである確率が高い。あまりにゲストばかりでうんざりしたら、一度試してみても面白いだろう。
カワハギの「キモあえ」は絶品
カワハギはフグにも引けと取らないほどのおいしい魚。その淡泊な白身はもちろんだが、なんといっても魅力はキモだ。こってりとしたコクの深い味わいは、一度食べるとやみつきになる。
キモを軽くボイルして裏ごしし、しょう油を混ぜたものを刺し身とあえれば、キモあえの完成。これが食べたいがために、カワハギ釣りをしている人も少なくない。

他にも煮付け、フライ、酒蒸し、鍋など、何にしてもおいしい。これからキモが大きくなってくる季節。釣りの後はぜひこの至高ともいうべき味を堪能してほしい。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>