猛暑が続くとスタミナがつく食べ物を食べたくなりますが、そんなときにオススメしたい食材が「シジミ」。実は夏にシジミを食べる理由はいくつもあります。
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土用の丑といえばウナギ
今年も猛暑となった土用丑の日。一年に4回ある「土用の丑」ですが、立秋である8月上旬の前18日間に当たる「夏の土用」にある丑の日は1年で最も暑さがひどくなる時期です。
どうしても食欲がなくなってしまうこの時期、スタミナの付くものが欲しくなるのは自然の摂理といえます。そんな暑い夏の食材として最も有名なのはやはりウナギでしょう。
「夏の食材としてのウナギ」は実は万葉集にも登場するほど古くから知られたものであり、実に1000年以上の歴史があります。江戸時代にはかの平賀源内の宣伝で「土用丑の日はウナギ」というイメージがパブリックなものとして確立されました。
しかしそんなウナギも現在では絶滅危惧種に指定され、養殖物を含めて気軽に食べるべきとは言えない存在になってしまいました。無邪気に「土用丑の日はウナギを食べる」とはいかない時代なのです。
土用になると「シジミ」が美味い
そんなウナギに代わるべき「土用丑の日に食べたい食材」があります。それはシジミ。
シジミは秋に産卵するのですが、初夏から夏にかけてはそれに備えて身に栄養を溜め込みます。そのためこの時期のものは身が大きく太っており、旨味が強く食べごたえがあるのです。
この時期のシジミは「土用シジミ」と呼ばれ、通人に珍重されてきました。シジミはウナギに負けないほど栄養価が高く、元気のビタミンと言われるビタミンB12や肝臓に良いオルニチンなどといった栄養素が豊富に含まれています。その疲労回復効果はウナギをも上回ると言われているのです。
土用シジミの美味しい食べ方
そんな土用シジミ、どんな料理で食べるのが良いでしょうか?
シジミと言えば、多くの方が連想するのはやはり味噌汁でしょう。栄養がたっぷり含まれた出汁を余すところなく摂取できる味噌汁は、シジミ料理の代表的なもの。しかし、土用シジミはシジミとは思えないほど身が大きくふっくらとしており、味噌汁で食べてしまうにはややもったいない気もします。
個人的に、土用シジミで作りたい最もオススメの料理は「台湾風醤油漬け」です。
酒蒸しにしたシジミをむき身にして、だし汁と醤油、紹興酒、ニンニクなどを混ぜたタレに漬けるこの料理は、シジミの身そのものの旨味や歯ごたえを楽しめ、また漬けたあとの醤油ダレもまた旨みたっぷりの調味料となります。
酒の肴にもごはんのおかずにもピッタリなので、土用シジミが手に入ったらぜひ作ってみてください。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>