名栗川のテンカラ釣りでヤマメと対面 台風被害から見事に回復【埼玉】

名栗川のテンカラ釣りでヤマメと対面 台風被害から見事に回復【埼玉】

一昨年の台風19号は、埼玉県の名栗川にも大きな傷跡を残した。昨年も川は濁り、ヤマメの魚信は遠のいたが、今年は釣行のたびに姿を見ている。ここでは今季の5回の釣行を紹介する。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター小島満也)

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小島満也

淡水小物、トラウト、バスを追うテンカラアングラー。週末は「裏の川」にいます。埼玉県在住。

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今年の河川釣況は

令和3年3月。今年も渓流釣りの季節が巡ってきた。果たして、名栗川の状態は、ヤマメは出てくれるだろうか。筆者は回復への期待を込め、3月5日、12日、24日、27日、そして4月9日の計5回、釣行を試みた。

次に各日の記録を記す。釣法はテンカラ。釣り場は、いずれも本流である。

5日の記録

解禁から5日目。今年の初釣行。東京都青梅市成木から延びてくる県道が峠を下って名栗地区に入ってくる付近に架かる開運橋下流から入渓。アシが両岸に繁茂する一帯は、過去に大型ヤマメが釣り上げられた実績ある好釣り場だ。

河原に立つと、以前ほどではないが、底石も徐々に現れ始めているのが見て取れた。カゲロウが舞っている。と、対岸のアシ際でライズ。流下してくる虫だろうか、捕食行動しているのが見えた。

名栗川のテンカラ釣りでヤマメと対面 台風被害から見事に回復【埼玉】5日のヤマメ(提供:TSURINEWSライター小島満也)

すかさずヤマメの前方、50cmほどのところに毛バリをキャスト。しかし、飛距離が足らず、手前に着水。キャストのやり直しでヤマメを驚かしたら元の木阿弥。そのまま流すと、横っ飛びで毛バリを食らいついた。食い気が立っていて良かった。

12日の記録

上名栗地区。せせらぎキャンプ場上流に架かる柏木橋袂から入渓。川がほぼ直角に左へ折れ曲がるところ。ぶっつけは、この川にしては比較的大きな渕を形成する。当然、ここが一投目。だが、無反応。

300mほど遡行すると、右岸の石積み下でパシャリと飛沫。水深は約30cm、流速は穏やか。河原に片膝をついてキャストする。

名栗川のテンカラ釣りでヤマメと対面 台風被害から見事に回復【埼玉】12日のヤマメ(提供:TSURINEWSライター小島満也)

出た!16cmほどの小振りだが、漁協未放流区間なので、紛れもなく名栗川で産まれた地場ヤマメ。生息が確認できたのが嬉しい。

24日の記録

下名栗地区の開運橋の上流から釣り場に。台風が来る前は大小の石が沈んだいい瀬だった。が、小砂利でその多くが埋まり、魅力は失せた。魚信がないまま、さつきキャンプ場前へ。キャンプ場前は落ち込みが連続する第一級ポイントである。

名栗川のテンカラ釣りでヤマメと対面 台風被害から見事に回復【埼玉】24日のヤマメ(提供:TSURINEWSライター小島満也)

歩行者専用の橋の直下、その上と二つの渕が連なる。両渕も押し流されてきた土砂によって随分と浅くなってしまった。粘って水面に毛バリを打ち続けていたら、上の渕の右岸側からスーと浮上してきて、茶系の毛バリを頬張った。20cm弱だった。

27日の記録

上名栗地区人見。ここは名栗川本流中、渓流らしい渓相が続くので人気の区間だ。台風前は、漁協によってヤマメが放流されていたが、台風が上陸した翌年、そして今年と2年続きで放流は見送られている。だから、この区間もヤマメが出れば、再生産された個体である。魚信がないまま、遡り、右岸の護岸下の瀬を狙う。的中。小さいが名栗川のネイティブ!顔が綻んだ。

4月9日の記録

再び、人見へ。神社脇から入渓する。しばらく遡り、左岸に沿う護岸下のえぐれから、黒点の少ない美しい姿態の天然ヤマメ。サイズは約17cm。握った掌の中で、グイと力強く身をくねらせた。素早く撮影して流れに戻した。

ヤマメの川は回復傾向

以上、釣行5回の記録である。釣りをした時間は各日3時間ほど。ヒットしたヤマメの数は特筆すべきものではなかったが、台風直後の我が目を疑ったあの川の荒れ様に、何年もヤマメ釣りは難しいだろうと思っていただけに、今回の釣行のたびにヤマメが出てくれたのは望外の喜び。

名栗川のテンカラ釣りでヤマメと対面 台風被害から見事に回復【埼玉】埋まった岩が現れ始めた名栗川(提供:TSURINEWSライター小島満也)

毛バリには反応したが、フッキングに至らなかったケースも何度かあった。釣行の印象として、名栗川本流は回復基調である。

名栗川に通う理由

私はシーズンを通して、渓流釣りの有名河川でもない名栗川へ頻繁に通う。大釣りするわけでもないし、行けば必ず釣れるというわけでもない。水源も豊潤ではない。しかし、この凡庸な里の川に、私は惹きつけられる。

豊潤とはいえない水源ながら、生命を育むため、懸命に流れている。そんな気持ちを抱かせてくれる川だからだ。台風で傷ついた流れが修復されていく過程を見届けよう。改めて、そう思った。

<小島満也/TSURINEWSライター>

▼この釣り場について
名栗川(入間川上流)