伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「流れ川のドボン釣り」。厳寒期こそ、高活性の魚が狙える流れ川が狙い目だ。となればドボン釣りは、ぜひともマスターしたい必釣法だ。たかがドボン、されどドボン。ドボン釣りを甘く見ては、流れ川は攻略できない。今回は埼玉県坂戸市~川島町を流れる越辺川での実釣編をお届けしよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)
越辺川でドボン釣り
1月16日(土)に釣行した。所用がある伊藤は正午前に到着。
入釣ポイントは、小畔川との合流点付近にある階段護岸。釣り座が北向きなので季節風が強い時は狙いづらいポイントだが、当日の予報はほぼ南風。ただし16時すぎからは北向きに変わるので、それまでには何とか型を見たいところだ。
同合流点から数えて一つ目の階段護岸の中央付近に釣り台をセット。飛天弓閃光L24尺竿を継ぎ、釣り方は中通しのドボン。水深は1本ほど。エサはグルテンセット。タックルとエサは上図。
置きバラケでアタリを待つ
12時30分から完全振り切りでエサ打ち開始。
「ところで、これまでにアタったの?」
朝からエサ打ちをしながら待っていた記者に、伊藤が尋ねる。
「心配しなくてもいいですよ。まだ誰にもアタリはありませんから」
最初の10投ほどはテンポよく両ダンゴを打ち込んで寄せに徹する。バラケと言ってもダンゴチックなので、着水直後から開くようなタッチではなく、いわゆる置きバラケ。
「お団子を底に置いてくる感じだね。流れのある川で開かせても、粒子が流れていってしまう。それではバラケの意味がないからね」
いい感じに地底にバラケが溜まり始めたであろうタイミングで、今度は上下エサとも小さく付けてセットで打ち込む。常連の中には終始両グルテンの人もいるが、そのへんのところを伊藤はどう考えているのか。
「好みの問題だね。いい悪いじゃなく、バラケを打ったほうが魚が寄りやすいとボクは思うからそうしているだけ。はじめから回遊待ちの釣りと分かっているなら両グルもいいだろうけど、この川(釣り場)がどういう傾向か、通い慣れていないボクには分からないからね」
ジャミが寄ってしまうのでは?
「そうしたら打つのをやめればいいだけの話だし、ジャミが寄るならヘラが寄ってもおかしくはないよね」
記者に38cm級ヘラブナ
12時34分、朝からエサ打ちしていた記者に初めてのアタリが出た。ヒットしたのは38cmクラス。ちなみに竿は22.5尺で中通し、エサはグルテンセット。
「きっと寒い時間からエサを打っていたご褒美だよ。でもいい傾向だよね。厳寒期の流れ川では、周囲の誰かにアタリが出れば連鎖的に周囲でもアタリが出る傾向が強いからね」
確かにそれは大いにあり得ること。これならば伊藤にアタリが出始めるのも時間の問題か。
すると記者がヒットさせてから5分後に、伊藤のウキにも明確な変化が出た。しかしアタリにつながらず、その後は音沙汰なし。
「絶対近くに魚がいるよね。でも食いアタリにならない」
両グルテンに切り替えたり、前誘い・引き誘いなど考えられる手立ては講じていくものの、時間だけがすぎていく。さらに予報よりも早く北風が吹き始めて、24尺竿を振るのがきつくなってきた。
あきらめきれない伊藤は竿を21尺に替えて抵抗するも、真正面からの風とウキの見づらさにとうとうギブアップ。日没を前にして納竿を余儀なくされてしまった。
「取材でオデコはまいったなぁ。再取材する時間はある?(笑)」
いえ。今回は残念ですが、記事をそのまま掲載させていただきます。そのかわりと言っては何ですが、私が釣ったヘラを載せてもいいですか?
「もちろんOK(笑)。越辺川ではこんなヘラが釣れるって、読者のみんなに見てもらったらいいよ」
ではお言葉に甘えてそうさせていただきます。
次回も「流れ川のドボン釣り」です。
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>
越辺川