6月からのクロダイ(チヌ)のカカリ釣りは、気温・水温ともに高くなって、いよいよ盛期へ突入という楽しいシーズンの開幕となる。三重県下の釣り場では3~4月の産卵期(乗っ込みシーズン)、そして5月の食い渋りの一服状態が終わると良型が動きだすので、大物狙いには最適。また、釣り場によっては小型~大型の数釣りも満喫できる。そこで今回は、この時期からイカダ&カセで狙うクロダイの釣り方を紹介しよう。
タックル
この時期のタックルだが、良型のクロダイを掛けた際にも安心してやり取りができるように、バット(サオの胴部分)がしっかりしたサオを使用するのが無難だ。
ラインは1.7~2号を標準にして、ポイントによっては2.5号。
ハリは4~6号を標準に使用する。
【ダンゴ】
この時期は、年間で最も日の出から日没までの時間が長くなり、必然的に長時間の釣りとなるため、ダンゴは少し多めに持参した方がボラの多い場合も含めて安心。
私はこの時期は集魚力を控えめにして、コントロール性を重視した配合のダンゴを使用している。
釣り方
出船して釣り場(イカダまたはカセなど)に渡ったら釣り座を決め、道具類は釣りやすい位置にセットする。
釣りを開始するが、取りあえずタックルを準備して、軽いオモリを付けてさしエサを落とし込み、海中(中層~底)の様子を見る。
この時、ボケやオキアミのさしエサですぐエサ取りに取られてしまう場合はアケミ丸貝、サナギ、コーンなども試してみると、いきなり良型クロダイのアタリが出るということもある。
状況に応じて使い分けよう!
ここで水深も測り、底の位置でラインへのマーキングもついでに済ませておく。
そして、アタリがない場合や魚の雰囲気を感じないときは、すぐダンゴを準備しよう。
ただし、連日複数匹の釣果が出ている釣り場に乗れた場合は、前述した落とし込みはせず、先にダンゴを準備して、ダンゴ釣りでスタートする方が、過去の経験から釣果にも差が出ることが多いように思われる。
私の場合、基本的に集魚力のあるオキアミ、アミエビ、サナギミンチなどはダンゴに混ぜ込まずアンコとして底にまきエサを効かせるようにする。
ただし、コーンは比較的に比重もあり、しっかり底まで落ちるのでまきエサとしてのアピール度が高く、さらに中層のエサ取りにも強いので、状況に応じて混ぜ込むこともある。
ダンゴが仕上がったら、まずは釣りをするポイントへアケミ貝を粗割りしたもの、オキアミ、サナギミンチ、コーン、アミエビ(エサ取りが少ない釣り場や状況に応じて使用)をアンコにして、5~10個程度しっかり握って打ち込む。
そして、少し休憩してからダンゴ釣りの開始となる。
さしエサはオキアミでスタートして、まずはカカリ釣りで非常に重要となってくるボラを寄せるために、さしエサが取られなくてもある程度の時間でエサ切りをして、定期的にダンゴを打ち返していくようにする。
しっかりダンゴを打ち込むことで、サオ下やダンゴ周りに魚を寄せ、クロダイを足止めさせるポイントを作っていく。
打ち返し続けてボラがコンスタントにダンゴへ反応する場合は、ボラやエサ取りの反応の変化に気をつける。
例えば、ボラが急に激しくダンゴに反応したり、ボラがおとなしくなったりと逆の場合もある。
また、クロダイがダンゴに反応することもあるので、ダンゴアタリには注意が必要だ。
この他には、エサ取りが突如として活発になってきたり、エサ取りの反応がなくなったりと、これまでとは違う変化が出た場合は、クロダイがサオ下または周囲に寄っている可能性がある。
次に潮流も重要なポイントとなることが多く、潮の動き始めや潮止まり前後などは、クロダイの捕食スイッチが入ることが多々ある。
潮流の変化は、特にクロダイが釣れるチャンスでもある。
自然は奥が深くて、こういう時は必ず釣れるとは言い切れないのだが、常に海中を想像して、タックルを通してわずかな変化を読み取ることも、クロダイを仕留めるチャンスを逃さない秘訣だと思う。
また、さしエサのローテーションもこの時期は非常に重要となってくる。
エサ取りが少ない場合でも、オキアミやボケなど釣り人からも食いやすいだろうと感じられている軟らかいエサが有効だとは限らない。
近年はこの時期に限らず年間を通してサナギやコーンでアタリが出ることも多く、時にはアケミ丸貝やカラス貝(イガイ)も良型には有効なさしエサとなる。
通常のダンゴ釣りでなかなかアタリが出ない場合の対処法としては、テクニックとしては誘い釣りやガン玉を使用したダンゴのポイントや周囲への落とし込みがあるが、近年特に有効なのがダンゴを中層で割っての落とし込みだ。
クロダイはダンゴを打ち込んでいても浮いていることもあるし、底潮が冷たいなど、底ベッタリやトントンではクロダイや時にはボラのアタリも出ないことがある。
そういう場合にぜひ試してほしい落とし込みでの狙い方だが、私は養殖小割りの釣り場で、水深が20m前後からそれ以上あるポイントでは、小割りのネット下が水深13~15mぐらいのため、その水深をダンゴを割る目安としている。
この他の釣り場の場合では、だいたい水深の3分の2程度の場所から落とし込んで狙うのが、手返しの効率もいいと思い実践している。
この釣り方をしていると、底ではクロダイのアタリがない場合でも、底から2~3m上でアタリが連発なんてことも珍しくはない。
基本はオモリなしで狙うのが有効なので、視認性が良く、表現力のある穂先を備えたタックルを使うのが賢明だ。
オモリなしでの落とし込み釣りでは、さまざまなアタリが出る。
例えば、食い上げて落下が止まるようなアタリや、落下スピードが変わるアタリなど。
また、小さい前アタリや触りを感じ取れる性能のサオも必要だと思う。
着底前で掛けたクロダイの引きは強烈。
しっかりとアワセが利き、突然の突っ込みにも耐えられるバットの強さも必要となるので、私の場合は前述の性能を網羅したサオ『いかだ宙凪/がまかつ』を好んで使用している。
最後に
これからの時期は気温も高くなり、熱中症や極度の日焼けなど特に注意が必要だ。
暑さ対策も万全にして、多くの飲料水、可能であればパラソルも持参しよう。
それから、私のお勧めは真水でぬらしクーラーの氷で冷やしたタオル。
時折、顔や体に当てることで、暑さで火照った体をリフレッシュできるし、釣りの後にウエアや道具をきれいにすることもできる一石二鳥のアイテムとなる。
また、ライフジャケット(膨張式はボンベなど)の点検も釣行前には必ず行い、安全で快適に盛期のカカリ釣りを満喫してほしい。
<末吉一崇/TSURINEWS編>