遠投記録保持者が教える『遠くに投げる』コツ:糸の太さと素材の選び方

遠投記録保持者が教える『遠くに投げる』コツ:糸の太さと素材の選び方

仕掛けを遠くに飛ばそうと思ったとき、しっかり理解しておきたいのがラインの種類と太さの関係だ。ターゲット別でラインの種類を使い分けよう。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・松尾幸浩)

アバター画像
松尾幸浩

1954年兵庫県三木市生まれ。全日本サーフキャスティング連盟兵庫協会神戸投翔会名誉会長。DAIWAフィールドテスター。キス数釣り競技から大物狙い、遠投競技まで投げ釣りのあらゆる志向をこなすオールラウンダー。

×閉じる

海釣り 投釣り

ラインは細く&強く

前回はオーバースローとスリークォータースローを紹介しましたので、今回は「遠投」のコツ・ライン編を紹介したいと思います。釣りのラインは魚に警戒心を与えないためにも、号数が細くて強いことが一番。これはあらゆる釣りにおいて大きなメリットとなります。投げ釣りでは細くなるほど飛距離が伸び広範囲に探ることができるので、釣果も増えます。その一方、大きなさかながヒットすれば細いと切れてしまうことも考えられます。

今回はライン素材の特徴と太さが飛距離にどう関係するのか、また、ターゲットに対してどんなラインを使うのがいいのかを紹介します。

遠投記録保持者が教える『遠くに投げる』コツ:糸の太さと素材の選び方いろいろな種類があるライン(提供:WEBライター・松尾幸浩)

太さと飛距離の関係

まずはラインの太さと飛距離の関係ですが、細い方が断然飛距離は伸びます。その原因は、

・細いほど空気抵抗が少ない。
・重量が軽い。軽いほど抵抗が少ない。
・しなやかでガイドの接点も少なく抜けもいい。

ためです。

太い場合はこれらの全く逆のことになりますから、飛距離は落ちます。

素材で変わる飛距離

ラインが太い、細い意外に飛距離に影響を及ぼす要素があります。それが素材です。

ナイロンライン

ナイロンラインの素材はポリアミドで、飛距離や感度などはPEラインに劣る面があるものの、一番安価です。キス釣りでは0.4~0.8号までの極細ラインを使う人もおり、カレイ狙いでは3号~5号、マダイやスズキ等の大物狙いでは6号~8号、磯の大物であるイシダイ狙いでは10号を使う人が増えてきました。やはり、総合的には投げ釣りでは欠かせない存在です。

ただ、細くなるほど伸びが大きく感度が低下してアタリ自体が取れなくなるため、PEラインに比べて釣趣は劣ります。また吸水性が8%と非常に高いため、一度使用して水分を吸ってしまうと全体が重くなり、飛距離が落ちてしまいます。また、耐久性も悪くなりますから頻繁に取りかえる必要もあります。

PEライン

PEラインの素材はポリエチレンで、複数本のイトを編み込んで作られたラインです。そのために同じ号数のナイロンラインの約3倍の引張強度があり、より細く作ることができます。そのため遠投重視のスタイルでは特に人気が高いラインです。

難点は、ナイロンに比べて2倍~3倍と値段が高いこと、耐磨耗性が低く、岩礁や障害物にラインが擦れるとダメージを受けてしまうところです。また、軽さによってラインが風にあおられ、影響をもろに受けるため飛距離も落ちます。潮流についても、比重の軽いPEラインは波の力で流されてしまいます。

そして、重要なのがサオのガイドを選ぶことです。キャスピンやハイスピンダーではガイド絡みもありますから、トラブルの少ないローライダーやKガイド、ダイワのカーボンフレームガイド「AGS」が最適です。

フロロカーボンライン

フロロカーボンの素材はフッ素と水素、炭素で、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)と呼ばれ、伸張性が低く、感度がいいためにハリス用として使用することが多いです。また耐熱性や比重が大きくて水に沈みやすく、吸水性がないのが特徴です。しかし、ライン自体は硬いため、ラインのねじれやパーマなどのトラブルも多く、遠投性は劣ります。やはりナイロンラインよりは高価なので、投げのミチイトとしては使われないラインです。

紹介したラインの中で飛距離の総合的順位を付けると、1位PEライン、2位ナイロンライン、3位フロロカーボンラインとなります。

次のページではターゲット別の使い分けを紹介