「海釣りをしていると一度くらいは落水する」とは、釣り好きである私の上司の言葉だ。実際私もライフジャケットのおかげで命拾いしたことがある。今回は過去の落水体験を語りたい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・井上海生)
釣りにおける「落水」の恐怖
夜。テトラ帯でのことだった。足を滑らせて、まず下半身が海に浸かってしまった。それだけでも相当危険な状態なのだが、私はこのとき、まだ余裕があるような気がして、サオとリールを庇いながら上がろうとしたのだ。
そうするうちに、もがいた体が、水中に吸い込まれていく。潮がかっとんでいるようなエリアだったのだ。アッという間に全身落水してしまった。
このように本当にちょっとしたことで、落水は起こり得る。今回は、それからの私の対応について書いていくが、読者のみなさまに第一に伝えたいことは、「ライフジャケットを絶対に着用すること」だ。
どれだけ注意していても防げない落水もある。そのときにライフジャケットを着用しているかどうかで、本当の意味で生死が分かれる。
ライフジャケットで命拾い
落水直後から、もともと浮力のあるライフジャケットのボンベがまだ開かない状態で、体がプカーと浮いた。これは「おっ」と思った瞬間である。これまで正直、飾りか、よいところお守りのようにしか感じていなかったライフジャケットが、実用的に役立った瞬間だった。
そのまま3m程度流されたところで、ライフジャケットが膨らんだ。幸い、潮流こそ速いがシャローで、すぐに手前の低い位置にテトラがあったので、そこまで平泳ぎで這い上がれた。
しかしボンベが膨らんでしまうと、脇のあたりが圧迫されて、なかなか平泳ぎもうまくできないのも事実だった。あれ以上流されていたら、と思うと怖い。ライフジャケットは多くの場合、目立つような蛍光カラーのボンベに、反射板がついている。海に落ちても、誰かが発見して助けてくれるので、落ち着くことが大事だ。
泳いで戻れないと思ったら、大声を出して陸に落水したことを伝えるか、ライフジャケットに付属している(ことが多い)ホイッスルを吹いて、周囲に知らせよう。