三重県・南伊勢町礫浦(さざらうら)の光栄丸では毎年、梅雨明けごろから湾口に位置する養殖小割りでカカリ釣りクロダイの「数釣り」」が楽しめる。梅雨明け発表前の7月29日に訪れた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
クロダイ狙いのカカリ釣り
7月29日、山本太郎さんとともに、三重県・南伊勢町礫浦(さざらうら)の光栄丸から養殖小割りで大型クロダイ狙いのカカリ釣りへ。前日の予報は曇り時折雨だったが、当日はガラリと予報が変わって蒸し暑い一日となりそうな気配。午前5時ごろ桟橋を出船し、10分弱で水深約17mのマダイの養殖小割りに渡った。
船長に状況を確認。「午前中の比較的早い時間帯からコーンのエサで釣れていますよ。午後は3時ごろからですね。このところマダイも多いですよ」と教えてくれた。
養殖小割りの特徴
山本太郎さんに養殖小割りの特徴を確認する。
「養殖小割りは、定期的に養殖魚に与えるエサのおこぼれを拾うことができるし、小割りの網自体が格好の隠れ家になる。大型魚が居着くにはまさに絶好のポイントと言えるでしょうね。カギとなるのはボラ寄せです。」
まずはモーニングを狙ってマルキユーの食い渋りイエローを落とし込んだが、カワハギらしい小さなアタリが出るだけ。思っていたほど活性は高くないようだ。15分ほどで見切りをつけてダンゴ釣りに切り替える。
ダンゴはマルキユーのパワーダンゴチヌ、大チヌスペシャルハイパー、速戦爆寄せダンゴ、オキアミ3kgをベースに、活さなぎミンチ激荒を加えて完成だ。
まさかの大失態…
午前6時、オキアミ+サナギエサで釣り開始。ボラを寄せるために3分ほどの間隔で打ち返す。ダンゴを打ち始めて5投目、いきなり太郎さんが「きましたよ」と大アワセを入れた。結構な引きでサオが曲がっている。いきなり本命か尋ねると、「サオをたたくので本命かマダイかも」と。
ところが、ここで名手らしからぬ大失態。思わぬ形で第1のターニングポイントがやってきた。リールを5~6回巻いたところで、なんとハリ外れ。ハリを見ると曲がっており、「チヌバリ3号ではちょっと小さかったか……」と。
いつもは4号のハリを使っているのに今日はどうして3号なのか確認すると、「横着して一番上にあったハリを何気なく使ってしまった」と。太郎さん……。
「やはり狙う(釣れる)魚のサイズに合ったハリやハリスを使用することが大切ですね。ここで釣れているクロダイやマダイは40~60cm級、確実性からいえば4号を選択することがベストでは」と猛省していた。
ボラのアタリが出始めチャンス到来
この後、ダンゴの打ち返しを続けたがボラの寄りが悪い(バラシのせいなのか?)。おまけに当て潮で、上層の潮の押しが強く、仕掛けが小割りの網の下に向かって流れてしまう。何度もロープや網に引っ掛かるので、G1号オモリをハリから40cmくらいの位置に打ち、ダンゴもやや前方に投入、ハワセ幅を変更したりと試行錯誤した。
状況が一変したのは昼前、やっと潮が前方に流れ始めたが、魚の活性は低い。それなら昼食でもと考えていたが、太郎さんを見ると先ほどとは様子が違い、ダンゴの打ち返しのピッチを速めている。話を聞くと、「先ほどからボラのダンゴアタリが出始めたのでチャンス到来ですよ」。
52cm「年無し」浮上
そして午前11時50分、「きましたよ」という太郎さんの声。エサはサナギ+コーン、ダンゴが割れてから1分ほどできたそうで、サオが大きく絞り込まれている。
しかし、やり取りを始めた太郎さんは「何かおかしい」と言う。見た感じではエイのような重々しい引き。あまり走らないが何だろう。「最近、同じような引きで年無しを仕留めましたが、それとよく似た引きですねえ」と太郎さん。
そのままリールを巻き続けていると、突然強烈な引きに変わって走りだした。何度も抵抗した後に海面にガバッと姿を見せたのは、目測でもはっきり年無しだと分かるサイズ。難なく取り込み検寸すると52cmだった。