プロが教えるサカナと相性抜群の野菜:青ジソ 「大葉」は商品名?

プロが教えるサカナと相性抜群の野菜:青ジソ 「大葉」は商品名?

専門的な農業技術を有す「普及指導員」である筆者。今回紹介するのは、魚料理との相性抜群な「青ジソ(大葉)」。爽やかな刺し身のツマにも利用されるなじみの深い「和のハーブ」について紹介しましょう。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・濱堀秀規)

アバター画像 TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

目次

釣り好きな野菜の専門家

皆さんは、この夏も釣りに出かけて、地球と遊んでいますか。夏の昼間の釣りは暑いので、たっぷりな量の水分を持参して、こまめな補給をしてくださいね。私も、夏の徳島・鳴門海峡でのタイラバや、ハマチ釣りに通っていますが、その時は、「すだち微炭酸」や「ザ・すだちドリンク」をたっぷりクーラーに入れて出かけています。

さて私は、「普及指導員」という国家資格を持っていますので、野菜の専門家と呼ばれることがあります。今回は、お魚と相性抜群の野菜シリーズとして、「青ジソ(大葉)」を紹介します。

青ジソは、魚と相性抜群であり、釣り師にはなくてはならない野菜であることは間違いありません。

「青ジソ」と「大葉」

愛する妻がまだ若かりし頃に、私が「スーパーで青ジソ買っといて」と頼んだら、「青ジソが売ってなかったんで、大葉を買っといたから」とのこと。実はこの2つの呼び方は、商品名か植物名かが違うだけで、同じモノなのです。

「大葉」が商品名で、「青ジソ」は植物名。妻は大葉を買ってくれたので、私がリクエストした青ジソを買ってくれていたのです。

「葉」以外の部分も食用に

皆さん、シソの花って見たことありますか。おじさんの家庭菜園では秋になると、シソの花がたくさん咲いています。シソは、葉を利用するのが一般的ですが、花穂も食用に使っています。花穂とは、稲の穂のように軸に沿ってたくさんの花がついた状態のものです。

プロが教えるサカナと相性抜群の野菜:青ジソ 「大葉」は商品名?シソの花(提供:WEBライター・濱堀秀規)

花穂は名称が変わる

シソの花穂は成長の段階によって名称が変わるんです。花をつけた貴重なものは「花穂ジソ(はなほじそ)」と呼ばれています。

花が咲き終わって、実が熟す前のものは「穂ジソ」と呼ばれていて、穂ジソが束の状態で流通すると、「束穂(たばほ)」とも呼ばれます。そして、花の後に実がふくらんだものは「実ジソ」。軸から実じそだけをしごきとったものは「こき穂」とも呼ばれています。

シソの香りがするのに、シソの葉が見当たらない…と思った時は、葉っぱ以外の、穂や実が利用されているかもしれません。

シソの「芽」と「葉」

青ジソの葉っぱには2種類があります。「シソの芽」と「シソの葉」です。皆さん「シソの芽」ってご覧になったことがありますか?シソの双葉がちょっと開いた状態のものです。

刺し身のツマに、青や紫の小さな葉っぱが添えられていることがあると思いますが、それがシソの芽です。青は青ジソの双葉の芽、紫は赤ジソの双葉の芽です。青ジソの双葉を青芽(あおめ)、赤ジソの双葉に本葉が少しでかけたものは紫芽(むらめ)と呼ばれます。

プロが教えるサカナと相性抜群の野菜:青ジソ 「大葉」は商品名?赤ジソと青ジソ(提供:WEBライター・濱堀秀規)

大葉と呼ばれるワケ

シソの幼ない時期の双葉と、大人に成長したシソの本葉を比較すると。成長して私たちがシソと呼んでいる本葉の葉っぱは大きいですよね。だから、小さい葉の方ではなく、大きな葉の方=大葉となったんでしょうね。

大葉と呼ぶことでシソの葉を区別すると、青果市場などの流通段階での間違いがなくなるから便利で広がったんですね。ある人の資料によると、青ジソが、世の中に流通し始めたのは1961年頃。静岡県で青ジソの葉を束ねて大阪の市場に出荷したのが始まりだそうです。

だから、特に関西の台所と呼ばれる、大阪本場青果市場とつながりが深い、生鮮食料基地の徳島県でも、「青ジソ」というよりも「大葉」という呼び名の方が定着しているのですね。

シソを食べると頭が良くなる?

お魚を食べると頭が良くなると言われますが、理由は、魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が含まれるからです。同じようにシソの成分が体内で分解されるとDHAやEPAの栄養素を生成し、老化によるの神経細胞の死滅を防ぎ、神経細胞を活性化させる働きがあるそうです。

だから、魚とシソを同時に食べると、頭が良くなると言ってもいいんじゃないでしょうか(笑)。

プロが教えるサカナと相性抜群の野菜:青ジソ 「大葉」は商品名?頭が良くなる料理?(提供:WEBライター・濱堀秀規)

多彩なシソの効能

それではシソを食べるとどのような効能を得ることができるのでしょうか。

食欲増進効果

よく知られているシソの効果は、なんといっても「食欲増進効果」です。香りが嗅覚の神経を刺激することで、胃酸の分泌が促され食欲が増進します。そして、強い抗菌作用もあるので、刺し身などに添えて、食中毒の予防にもなります。

アレルギー物質の働き抑制

花粉症やアトピーなどのアレルギーの原因となる物質の働きを抑えることで、アレルギー症状を軽減する効果があると言われています。

眼精疲労予防

また、シソのβ-カロテンが体内でビタミンAとなり、眼の健康に必要な成分ができて、眼精疲労のが予防になります。ビタミンAは、皮膚、粘膜を丈夫にして、身体の免疫力を高めますので、ウイルスから体を守ってくれます。

疲労回復や貧血予防も

そのほかにもシソには、骨や歯を丈夫にする効果や、ストレスをやわらげる効果、疲労回復効果、血液をさらさらにすると同時に、貧血を予防する効果など、たくさんの効果があるそうです。

次のページでシソ=「紫蘇」と呼ばれるワケを紹介!