サカナ釣りをしたことがある人ならほとんどの人が一度は出会ったことがあるであろう【ベラ】。敬遠されがちのベラについて調べてみました。
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釣り人から嫌われる理由
ベラがほとんどの釣り人から嫌われているのにはもちろん理由があります。
ベラが釣り場で登場する場面はほとんどが共通しており、本命のサカナを狙っている時に限ってベラがたくさん釣れてしまいます。
釣り人はこういったサカナを俗に「エサ取り」と呼び、厄介者として扱います。
ベラがエサ取りのプロなのにはもちろん理由があり、そこにはベラの食性と口の形や大きさが深くかかわっています。
ベラの食性は基本的には肉食です。水中に住む小さなエビやゴカイ、プランクトンなどを好んで食べています。そのため、口は小さくとがっており、ついばむようにしてエサを食べることに特化しています。何度も何度もエサをついばみ、少しずつエサを食べるのです。
そのため、釣り人が気付かないうちに水中ではどんどんエサがなくなっていき、気づいたときには時すでに遅し、きれいにハリだけが残ってしまうのです。
また、食欲も非常に旺盛であり、一度食欲に火が付くと、お腹がパンパンになるまでエサを食べようとします。しかもベラは群れで行動するため、釣り場にベラがいると無限にエサが取られてしまうのです。
釣り人がベラを嫌う理由にも納得できるでしょう。
寝るときは地面の中
嫌われ者のベラですが、少しかわいい習性も持っています。
彼らは昼行性なので、夜は私たち人間と同じように眠りにつきます。しかも眠るときは、岩陰でこっそり眠るのではなく、砂の中に潜って眠るのです。
これは身を守るためだと考えられており、砂に潜ることで一種のカモフラージュの役目になっているのだと考えられています。
朝になり陽の光を感じると砂の中から泳ぎだすのですが、水族館にいるベラの中には朝になっても出てこず一日中寝ていることもあるようです。
地方によっては高級魚
ベラは日本のほとんどのすべての海に生息しています。
そしてほとんどがエサ取りとして厄介者のレッテルを張られていますが、一部の地域でキュウセンは高級魚として流通している地域もあります。
その地域は主に瀬戸内海に面した地域で、上品でクセのない白身魚として刺身はもちろん煮付けなど様々な食べ方で愛されています。
東日本の人からすると驚きかもしれませんが、スーパーの鮮魚コーナーでも購入することができ、大衆魚として扱われているのです。
敬遠せずに食べてみて
エサ取りで誰も持ち帰らないイメージのあるサカナのため、味も悪いと思っている方もいるかもしれませんが、ベラは決してまずいサカナではありません。
ベラは雑食なため、生息している場所の水質や食べているものの傾向によっては、もしかしたら身に磯臭さを感じることもあるかもしれませんが、それも趣の一つ。
もし大型のベラが釣れた際は一度食べてみて下さい。その美味しさに驚くこと間違いなしだと思います。
<近藤 俊/サカナ研究所>