Dr.近藤惣一郎フィッシングクリニック:コマセマダイ『テーパー仕掛け』

Dr.近藤惣一郎フィッシングクリニック:コマセマダイ『テーパー仕掛け』

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ロングハリスを使うコマセマダイですが、昔は4号10mといった具合に一本の通しハリスでしたが、10年ほど前から、スイベルを介して異なった太さのラインを連結するいわゆる"テーパー仕掛け”、”連結仕掛け"が主流になってきました。なぜテーパー仕掛けが流行ってきたのか、その意味やメリットを教えてください。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・近藤 惣一郎)

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船釣り エサ釣り

落とし込み釣法

具体的には船長の指示タナよりもビシをハリス長半分ほど降ろし、仕掛けが馴染むのを数十秒待ったら3、4回ほどコマセを振り出しつつタナまでビシを上げます。オキアミの自然落下速度は2~3m/分。ハリスが10mであればタナより5m下で最初に振り出したコマセが、5m先のつけエサに近づくには2分ほど要しますからじっと待ちます。そしてその後、つけエサが、コマセ煙幕よりも少し先行して落ちてゆく様を演出するのです。これが落とし込み釣法です。

Dr.近藤惣一郎フィッシングクリニック:コマセマダイ『テーパー仕掛け』仕掛けをゆっくり落とし込む(提供:WEBライター・近藤 惣一郎)

具体的には50cmビシを下げ10秒待ち、また50cm下げて10秒待ちます。落とし込み動作はサオ先を下げる方法やミチイトをゆっくり手繰り出す方法などがありますが、当日のアタリパターンを掴んで臨機応変に行います。ビシを下げすぎるとマダイを散らしてしまいますから、船長の指示ダナから2~3m下までが落とし込める下限目安。下限になれば再びビシをタナまで上げて同じことを繰り返します。

この釣法をさせてくれる船長は魚の活性が上がってくると、「何mから何mまでゆっくり落とし込んで誘って」といった具合にアナウンスしてくれることが多いです。数分後にはコマセは流れ、つけエサと離れてしまいますからビシを回収してコマセ・仕掛けを入れ替えます。

Dr.近藤惣一郎フィッシングクリニック:コマセマダイ『テーパー仕掛け』タックル図(作図:WEBライター・近藤 惣一郎)

ただし、文章で書くことは簡単ですが、実際の海では二枚潮やマダイが捕食するポイントで沸き上がる潮が当たり前にあり、ハリスにフケが出たり、つけエサとコマセが同調することが難しいケースの方が多いのです。

テーパー仕掛けとウェイト

その時有効なのが、ハリスにガン玉やスイベルなどウェイトを負荷することです。これによりハリスに張りが出て、つけエサもこれが支点になって落とし込まれやすくなります。この方法はスイベルを挟みミキイトと先イトを5号~4号といった具合にテーパーにすることから「テーパーハリス」と呼ばれることもありますが、本質はハリスのテーパーでは無く、ウェイトを負荷することだと考えます。

Dr.近藤惣一郎フィッシングクリニック:コマセマダイ『テーパー仕掛け』連結テーパー仕掛け図(作図:WEBライター・近藤 惣一郎)

ハリスのどの部分にどの程度のウェイトを負荷するかは潮況や地域によって異なってきますが、毎日その海に出ている船長や常連さんのアドバイスを頼りに行うのが一番です。例えば先ハリス3.5号4mとミキハリス4号6mの間にスイベル4号(0.4g)といった具合です。地域、船宿によっては底からタナをとったり、ビシの位置を動かすことを禁ずるところもあるため今回紹介した落とし込み釣法が全ての船宿で実行できるとは限りませんが、関東のコマセマダイが置きザオの”待ちの釣り”から手持ちザオでの”攻める釣り”に名実変化してきたことは確かなトレンドです。

Dr.近藤惣一郎フィッシングクリニック:コマセマダイ『テーパー仕掛け』先ハリスと幹ハリスの間に入れる連結スイベルとガン玉で状況に適した仕掛けを作り出そう(提供:WEBライター・近藤 惣一郎)

ハリス沈下速度

テーパー仕掛けの意味は、連結スイベルの重量で落とし込み釣法を行うということをこれまで書いてきました。しかし先イトとミキイトのハリス径を変化させることにも深い意味はあります。

Dr.近藤惣一郎フィッシングクリニック:コマセマダイ『テーパー仕掛け』奥が深い落とし込み釣法(提供:WEBライター・近藤 惣一郎)

それは、太ハリスは潮の抵抗を受け浮きやすく、細ハリスは沈みやすいということです。マダイの活性が低い時、細ハリスを使うと警戒心が弱まり、釣れやすくなると考える人は多いですが、実は細ハリスはそれと同時に沈みやすいのです。そのことが仕掛けの形状やつけエサの落下速度にも影響を与えるのです。活性が低くマダイが底に貼り付いている時、ハリスを4号から3号に細くしてアタリが出た場合、それは単純に魚の警戒心を弱めただけでなく、つけエサが落とし込まれやすくなっていることも知っておきたい事実です。

Dr.近藤惣一郎フィッシングクリニック:コマセマダイ『テーパー仕掛け』マダイの姿造り(提供:WEBライター・近藤 惣一郎)

既述のように実際の海では二枚潮やマダイが捕食するポイントでは沸き上がる潮が当たり前にあります。ハリスにフケが出たり、つけエサとコマセが同調することが難しいことがしばしばです。ベテラン釣り師達は、その時、連結スイベルやガン玉のウエイトを上手く使って、本命をゲットするのです。テーパー仕掛けとは実に奥が深いものと言えます。

<近藤惣一郎/TSURINEWS・WEBライター>