2020年2月に入り、「新型コロナウイルス」という言葉を見聞きしない日はありません。そんな今だからこそ、魚食で身体の免疫力をアップさせて感染予防をしてみませんか?栄養士からオススメしてもらった免疫力を高めるサカナ5選を紹介します。
(アイキャッチ画像作成:TSURINEWS編集部・四家)
免疫力とウイルスの流行
免疫力とは、外部のウイルスなどを身体の中に入りづらくし、また、中に入ってしまった厄介者を素早く排除することで、身を守っていく身体の抵抗力のことを指します。
冬は外気温が低く、身体が冷えて血流が悪くなったりと、免疫力が下がりがちの人が多くなります。さらに空気も乾燥し、ウイルスにとっては快適な環境となります。インフルエンザの流行がこの時期に多いのも、そのためです。インフルエンザに加えて、今年は中国で感染が拡大し、日本でも猛威を振るっている新型コロナウイルスについてもよく耳にします。
免疫力を上げるには運動・睡眠・食事
ではウイルス感染予防するために、どうやって免疫力を高めていけばよいのでしょうか。
免疫力を高めるには、適度な運動による体温の上昇、十分な睡眠でストレスの回復、さらにはバランスのいい食事などが挙げられます。中でも今回注目するのは、ラストの「食事による免疫力アップ」です。その中でも、食べると免疫力アップの期待ができるサカナについて紹介します。
免疫力があがるサカナ5選
免疫力アップには、細胞の新陳代謝を進める良質なタンパク質が必要不可欠です。「良質」とは、必須アミノ酸(体内で合成できず、食べ物からとらなければならない9種類のアミノ酸)をバランスよく十分に含んでいることを指します。
さらに、免疫細胞の6割が腸に集結していることを知っていましたか?つまりは、腸内環境を整えることが免疫力のアップには必須です。そこで、免疫力を高める「プラスアルファ」の栄養素を一緒に摂取できる、「ハイスペックタンパク質」であるサカナを紹介していきます。
サケ
日本の食卓には欠かせないサカナと言えば、やはりサケでしょう。天然物~養殖物まであり、適度な脂とクセのない身により世界中で食される魚。日本では縄文時代から食材として親しまれ、食卓定番の魚のひとつです。
旬と獲れる場所
北太平洋の広い範囲に生息し、国内では北海道周辺。国外ではロシア方面で漁獲するか、北欧のノルウェーやもともと生息していなかった南米のチリといった海外の養殖物を輸入しています。
ちなみにですが、遡上中のサケは産卵と遡上に命を懸けるため身がスカスカでまったく美味しくありません。海にいる間のものを秋~冬に掛けて漁獲しています(地域で異なります)。
食材としての魅力
昔から「薬食い」と呼ばれ、風邪予防の定番だったようです。身がオレンジ色になっている理由でもある、アスタキサンチンという赤い色素が免疫を落とす活性酸素を除去する効果を持っています。さらにビタミンD含有量がとても多く、低脂肪高タンパク質というダイエット等にも嬉しい食材です。
オススメの食べ方
サケに、キノコとブロッコリー、そしてトマトをアルミホイルで包んで蒸し焼きにしたホイル焼きです。ビタミンDを豊富に含むキノコ類と鮭の動物性ビタミンDと一緒に取ることで、その栄養素の吸収率をアップさせます。
またビタミンDは脂と一緒に食べると吸収率がアップします。さらにブロッコリーやトマトを加えると、ビタミンCやリコピンとの相乗効果も見込めるのでオススメです。
イワシ
イワシと言えば、古くから庶民のサカナとして親しまれています。また世界中にさまざまな種類が生息し漁獲されるだけではなく、たくさんの生き物のエサにもなっているサカナです。
日本では食材だけではなく養殖魚のエサや飼料、肥料にとあらゆることに活用されています。
旬と獲れる場所
日本全国あらゆる場所に生息していて全国的に水揚げされますが太平洋側のほうが多くなっています。また、地域やイワシの種類によって旬が異なるのも特徴的です。そのため、旬というより、魚のツヤや体色、体型などで美味しそうなものを選んだほうがいいでしょう。
食材としての魅力
イワシは一時期不漁で値上がりしたものの、基本的には安くてお財布に優しいサカナとして知られています。でも、脂の乗った新鮮なマイワシは低価格とは思えない美味しさです。
イワシの素晴らしいところはカルシウムやDHA・EPAなどのn-3系脂肪酸、ビタミンDなどあらゆる栄養素が豊富に含まれるところ。刺し身や焼き、煮物、加工食品などさまざまな食べ方ができるのも嬉しいポイントです。
オススメの食べ方
n-3系脂肪酸は熱に弱いため、新鮮なイワシが入ったら刺し身などの生食がオススメです。さらに魚類に含まれるリジンというアミノ酸とゴマのアルギニンをともに摂取すると、成長ホルモンを作る酵素が活性化し、それぞれで摂るよりも分泌量が10倍ほど増えます。刺身にクセの少ない白ゴマ油を掛けたカルパッチョがオススメです。
サバ
世界中で食されているおサカナと言えばサバ。世界には数種類いますが、日本にはゴマサバとマサバの2種類が回遊していて、それを世界に輸出しています。アニサキスや未成魚乱獲などの問題、サバの水煮缶など、何かと最近話題になる魚でもあります。ちなみに輸出するほど漁獲されるのに、鮮魚ではない干物などはほとんどがノルウェー産大西洋サバという不思議な一面もあります。
旬と獲れる場所
マサバは脂の乗った晩秋~晩冬がもっとも美味しいと言われていますが、どこで漁獲したかで旬が少し異なります。
茨城を主体に各地で水揚げされていますが、山口県の関サバ、神奈川県の松輪サバなどブランドフィッシュになっているものもあります。干物は大西洋サバがとても多いとお話しましたが、非常に脂のりがよくこちらもとても美味しいので、輸入物だからといって侮れません。
食材としての魅力
他の魚と比較すると、栄養面では多価不飽和脂肪酸が群を抜いて多く含まれています。EPAやDHAに代表される多価不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、逆に善玉コレステロールを増やす働きがあり、動脈硬化の予防、改善や脳卒中や高血圧などの生活習慣病から身体を守ってくれます。ビタミンB2、ビタミンDも豊富です。
オススメの食べ方
生食はアニサキス、鮮度低下によるヒスタミン中毒に要注意。リスクがある以上オススメは出来ません。どうしても刺し身で食べたいなら、しっかりと管理されたブランドサバを選んで食べるのが◎。プロが処理を行ったお店で食べるのが安全でしょう。〆サバや塩サバ、味噌煮などさまざまな食べ方ができるので好みや気分にあわせて料理できます。また、長期保存ができる水煮缶はビタミンDが豊富。お湯で温めて醤油を少し垂らしただけのシンプルな食べ方でも十分一品として成立します。
タラ
年間を通して鮮魚コーナーに置いてあり、切り身の状態で見ることが多く、鍋やムニエル、ホイル焼きなど幅広い加熱調理に対応した定番白身魚のひとつ。
旬と獲れる場所
漢字で「鱈」と魚偏に雪と書き、旬は11月~2月。北海道や東北地方、日本海側と水温が低い海域に多く生息しています。冬になると産卵期のため人気の白子が大きくなっているだけでなく、浅場でたくさん漁獲されます。
食材としての魅力
そんな今が旬のタラは、低カロリーでたんぱく質含有量が高いことが特徴です。脂質が少ないので消化吸収がよく、赤ちゃんから高齢者、そして病中病後の体力回復にとても向いている魚と言えます
オススメの食べ方
山形の「どんがら汁」は新鮮なタラを一匹まるごと使って作る郷土料理ですが、どんがらとは魚の中骨やあら、内臓のことを言います。「身よりうまいどんがら」という言葉もあるくらい。ダシがよく出た汁はとても美味しくオススメです。
アンコウ
アンコウは自身の頭についた突起で魚をおびき寄せ捕食するという風変わりな捕食を行うことでも知られています。それだけではなく魚なのに泳ぎが下手、怪獣のようなフォルム、変わった生態など、ユニークなおサカナです。ところが味はよく捨てるところがほとんどないことでも有名です。
旬と獲れる場所
旬は、冬にキモが大きくなるため11月~2月とされています。漁獲量が多い茨城県が有名ですが、山口県や青森県などでも漁獲されます。また、中国産を輸入して販売しているものもあります。
食材としての魅力
アンコウをフックに引っ掛けて空中で捌く、吊るし切りが有名ですが、捌き辛いことからまるまる1尾売りを見ることはほぼありません。
大抵はアンキモのみで売られているか鍋セットで売られています。外見は正直グロテスクですが、味が大変良いため昔から珍味で高級食材な上、ビタミン類、DHAやEPAなどの栄養素が豊富です。
オススメの食べ方
定番になってしまいますがやっぱり鍋が1番。材料はアンコウ、野菜、ワリシタのみとシンプルですが、ダシとアンコウから出る水分が混じり合った濃厚なスープができあがり、独特の旨味が口に広がる逸品です。解体済みのものがパックで売られていることもあるので、見つけたらぜひ手軽に楽しんでみて下さい。
魚食で旬を楽しもう
今回は栄養士からオススメしてもらった免疫力を高める魚を5種選びましたが、食用魚介類の一人あたりの年間消費量はピークだった平成13(2001)年に比べて、半分近くに減少しています。
サカナは、良質なタンパク質が摂取できる食材というだけでなく、季節に応じた『旬』を楽しめる食材でもあります。四季がある日本ならではの楽しみ方とも言えます。
ぜひ、家族や仲間と美味しいサカナ料理を囲んで楽しいひと時を送ってみて下さい。ストレス解消にもつながり、免疫力アップ間違いなしです。
<四家/TSURINEWS・デジタル編集部>