ヒラスズキを釣るというのはソルトルアーマンにとって憧れであり、一種のステータスでもあります。堂々たる体躯、難しい海況であることが好ましいなど、1尾の価値が大変高い魚であり、さらに食味も大変良く、極上の魚として多くのアングラーを魅了し続けています。
今回は春のハイシーズンを迎えるにあたり、ヒラスズキを狙うために必要な知識と装備について書きたいと思います。
警戒心が強いヒラスズキを狙う条件
波風荒ぶる磯場で、幾多の条件が重なった瞬間を狙って現れるヒラスズキ。
警戒心が強い魚のため、波しぶきの白い泡が広がる「サラシ」が形成されるような日が特に狙い目とされます。
荒れた日に釣れるとされるのは、サラシが広がることでヒラスズキ自体が身を隠しやすくなり、さらにエサとなる小魚が潮にもまれて捕食しやすくなるためです。
凪の日でも釣れないことはないとも言われますが、いずれにせよヒラスズキが捕食しやすい環境が揃う日を探し出すということになります。
単純に海が荒れればいいというわけでもありません。
荒れれば荒れるほど危険は増しますし、まず釣り場自体にアプローチできなくなります。
磯という自然のど真ん中、厳しい条件であることが多い釣りとなりますので、しっかりとした装備がそろっていないと大変危険で、最悪命を落とすことになります。
事故を起こさないために、マナーとして身の安全を守る装備は必須となります。
安全装備は欠かせない必須アイテム
釣りをする上で必須となるアイテムをご紹介しましょう。
まずフローティングベスト。
落水時に浮き上がるだけでなく、転倒時にクッションの役割を果たしてくれたりもします。
またヒラスズキを探して磯を歩き続けることになるので、フローティングベストだと持ち物をコンパクトにまとめることができて便利です。
磯は足場も悪くすべりやすいため、スパイクシューズも必須となります。
滑りにくく歩きやすいものを選ぶのがいいでしょう。
靴のタイプは大きく分けて三種類。
シューズタイプ、ブーツタイプ、ウエーダータイプとあります。
機動性ではシューズタイプ、防水性ではウエーダータイプとそれぞれに利点があります。
初めのうちはスパイクシューズをおすすめします。
それというのもブーツ、またはウエーダーですと多少濡れても大丈夫という気持ちが危険を招く恐れがあるためです。
特にウエーダーは多少の水深であればどんどん進めてしまうので便利ではありますが、水中で転倒すると大量の浸水があり、また足元の空気が抜けずに身体がひっくり返って身動きがとれなくなってしまうこともあります。
靴底タイプにはスパイク、フェルト、フェルトスパイクとあり、スパイクは岩で、フェルトは苔で滑りにくい性質があります。
フィールドに応じて選ぶのが理想ですが、フェルトスパイクを持っておけば多くの場面で対応できます。
ヒラスズキを狙うためのタックル
ヒラスズキゲームは風のある状況下が多い釣り。
柔らかいロッドでは思うようにルアーを投げることができません。
慣れないうちは硬いMH(ミディアムヘビー)程度がおすすめ。
慣れてきたら状況や狙うサイズに合わせて数本用意しておくのが理想となります。
安全に釣りを行うにはまず、磯際に立たないことが肝心です。
いつ波があがってきて足元をさらうかもわかりません。
ロッドは11ft(約3.3m)前後の長いものを使うようにしましょう。
足場が高い場合や波が高い場合、ロッドが長いほうがルアーもしっかり足元まで泳がせることができます。
リールは中型スピニングリールを主に使用します。
DAIWAであれば3000番、SHIMANOなら4000番クラスがよいでしょう。
好みはありますがミスキャストや糸ふけをすばやく回収するためにハイギア、エクストラギアをおすすめします。
磯からの釣りとなるため、常に波しぶきにさらされるので塩噛みするリスクは高くなります。
耐水性があるものを選んだ方が長く使うことができます。
ルアーの選択と泳がせ方
使用するルアーは12cm前後のミノー。
ヒラスズキがよくヒットするレンジ(深さ)は水面直下です。
主力となるのは30cmから1mの深さを泳ぐミノーとなります。
たとえばレンジが50cmを泳ぐミノーで反応が得られなかったとして、30cmを泳ぐミノーに変えた途端にヒットすることがあります。
この微妙な差がヒットに持ち込めるかどうかを左右することがよくあるのです。
また波の高さや風によってルアーが泳がないこともありますので、レンジが違うミノーを数種類用意しておいたほうがいいでしょう。
ミノーの操作についてですが、演出すべきは逃げ惑うベイトフィッシュではなく、サラシの中をふらふら泳ぐベイトフィッシュです。
たまにアクションを交えてリアクションバイトを誘うのもいいでしょう。
どうやったらヒラスズキにルアーを見つけてもらえるかを想像しながらルアーを引いてくるのが、まずヒットへの近道となりますし、この釣りの面白いところでもあるのです。