初夏は波止周りやサーフの浅い場所にキスが接岸し、チョイ投げで楽しめるシーズン。手軽にできるチョイ投げのキスだが、実は様々な形状のテンビンが市販されている。ここでは、大きく3タイプに分けられるテンビンの特徴などを紹介していこう。
手軽なちょい投げキスのススメ
ルアーロッドや万能ザオ、はたまたロックフィッシュなど、軽いオモリをちょいと投げられて扱いやすいタックルで楽しめるのがちょい投げのキス。
仕掛けが軽い分、アタリが大きくでて、「この魚がそんな大きなアタリを出すのか」と驚かされる。特にルアーロッドなどのライトなタックルでキスが掛かった時の衝撃はたまらないものがある。
天秤(テンビン)は大きく分けて3タイプ
さて、そんなチョイ投げのキス用仕掛けのうち、ここ数年で大きくかわってきたアイテムがテンビンだろう。
古くは、投げ釣り用のL字型テンビンをそのまま小さくしたような形のテンビンであったり、半月型のキス用テンビンにオモリを接続したりというのが定番であった。
キスを狙うテンビン(本格的な投げ、チョイ投げとも)をその用途別に分けると「固定式」「遊動式」「半遊動式」に分けることができる。
・固定式はミチイトと仕掛けがオモリを介して繋がる形で、仕掛けを動かそうとすればオモリごと動かす形だ。
・遊動式はミチイトと仕掛けが直接繋がっており、そのライン上をテンビンがフリーで動くシステム。
・半遊動はテンビンの軸上をオモリが動くタイプで遊動の範囲が限られている。
それぞれにメリット、デメリットや使い方の違いがあるが、今回のテーマであるチョイ投げ用のテンビンにも固定式や半固定、遊動などがそれぞれある。
テンビンの普及
現在、釣具店の店頭などで並んでいるチョイ投げ用のテンビンは急速に種類が増えてきている。これは「チョイ投げ」という分野が浸透し、ファンも多くなったことで、メーカーも力を入れて開発に乗り出している証拠だろう。チョイ投げ好きにとっては嬉しい限りである。
さて、最近発売されているテンビンの形式を見てみると「L字型テンビン」「逆V字型テンビン」「半遊動式テンビン」がある。もちろん、その他にも数多くのテンビンが発売されているが、基本的には先程ほど説明した「固定式」「遊動式」「半遊動式」の3タイプに集約される。
今回は「L字型テンビン」「逆V字型テンビン」「半遊動式テンビン」を説明していこう。
逆V字型テンビン
ここ数年で、市販品にもよく見られるようになったのが、逆V字型のテンビンだ。
その名の通り、脚の部分が逆V字になっているところからその名が付いたテンビンで、逆さまになったV字の頂点にミチイトを結ぶ。V字の2本に分かれた先にはそれぞれ、オモリ(固定)、仕掛けを接続する。「固定式テンビン」に属するテンビンだ。
逆V字型テンビンの特徴
さて、このテンビンの最大の特徴は海底で引きずる際、ミチイトと仕掛けがまっすぐになる点だろう。メリットとしては、ミチイト、テンビンの脚、仕掛けが一直線になるため、アタリが非常にダイレクトに伝わり感度がいい点が挙げられる。
ただ、その反面、送り込むという動作については苦手なのと、ダイレクトに反応が伝わるので、穂先の硬さも魚に伝わり違和感を感じてエサを放す魚もいる。
感度がいい分、明確にアタリが分かるので、小バリ、小エサでキスがエサを食ったら即アワセで釣っていくスタイル…と考えるといいだろう。手持ちのサオで仕掛けをゆっくりと引きずって、アタリがあればアワせることでしっかりと魚を掛けていく釣りである。
逆V字の種類
ちなみに逆V字型テンビンの流行とともに、同じ形状でも様々なバリエーションが生まれている。
たとえば、シンカー部分にフロートを仕込むことで、テンビン自体が海底で立つように着底する。水中ではフロートがある分軽いので、シモリ(海底の障害物)などをかわしやすかったり、魚が引っ張ったときに違和感が少ないといったメリットがある。
また、オモリが安定して着底すると、脚が上の方に向き、仕掛けそのものを浮かせる…というシステムもある。仕掛けを少しでも浮かせることで仕掛けが潮になびき、自然な誘いをできる…というものである。
逆V字の中にもさまざまなバリエーションが生まれて来た事を考えると、その利点はかなり大きいようだ。