コンビニでおでんの具を選ぶとき、選ぶ人も多いのではないだろうか「さつま揚げ」。しかし、この「さつま揚げ」という名…実は全国共通ではありません。地域によって呼び名が変わる「さつま揚げ」の謎について調べてみました。
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さつま揚げのルーツ
“魚の身をすり潰し、成型したものを油で揚げた食べ物”
さつま揚げは中国が発祥と言われており、1800年代に中国→沖縄→薩摩→全国といった流れで広く知れ渡ったとされています。つまり「さつま揚げ」という名でもルーツは沖縄。
地域によっては生地の中に、タコやイカ、エビなどの魚介類や、ゴボウや紅ショウガなどの野菜類を入れたりすることもあるようです。
地域で変わる呼び名
さつま揚げは地方によって呼び名が大きく変わります。全国的に「さつま揚げ」だと思われている方もいるかもしれませんが、実は違うのです。
しかも、名前にも入っている薩摩(現在の鹿児島)でも、「さつま揚げ」とは呼ばれていません。
沖縄・鹿児島
なんと鹿児島では「つけ揚げ」と呼ばれており、ルーツの沖縄でも同様に呼ばれているようです。しかもこの「つけ揚げ」は鹿児島の言葉ではありません。
もともとは沖縄の「チキアギー(チキアーギ)」がなまって「つけ揚げ」になったとされ、江戸時代の頃に交易を通じて鹿児島に伝わったようです。
ちなみに本場の鹿児島の「さつま揚げ(つけ揚げ)」は、他地域のさつま揚げよりも甘く作られており、甘い味つけを好む鹿児島という土地柄が出ているようです。
ではなぜ「つけ揚げ」ではなく「さつま揚げ」と呼ばれているかというと、薩摩地方が名産のため、全国に流通する際にそこから名前が広まったようです。それだけ「薩摩」のネームバリューが強かったのでしょうか。
関西地区
関西地区ではまさかまさかの「てんぷら」と呼ばれているそうです。
これにはもう驚きを隠せません。
さつま揚げが「てんぷら」で、天ぷらも「てんぷら」!?揚げ物屋さんで注文するときにどうなることやら…
東海地区
名古屋を中心とした東海地区では「はんぺん」と呼ばれているようです。
こちらは関東地方で嗜まれる白い練り物の「ハンペン」とは別物です。
こちらも関西の「天ぷら」事件と同じようになるかと思いきや、東海地区では白い「ハンペン」をあまり見かけることはなく、おでんの注文でも間違えることはありません。
名古屋に行った際に、「はんぺん」と注文すると、さつま揚げが出てくるのでお間違いのないようにご注意を。
年長者ならでは?
ご年配の方の中には、地方関係なく、「揚げかまぼこ」と呼ぶ方もいるようです。
製法で名前の変わる練り物ですので、【揚げ】のワードを付けることで「さつま揚げ」を認識することができます。
おそらくどの地域でも「揚げかまぼこ」と注文すれば「さつま揚げ」が出てくることでしょう。
地域の練り物事情
各地で呼び名の変わる「さつま揚げ」。場所によっては「てんぷら」や「はんぺん」など、別の食べ物の名前になってしまうこともあるので、注文の際は注意しましょう。
また、入っている具によって、その名は「いかてん・ごぼてん・じゃこてん…」など、ドンドン変化していきます。
名前が変わるだけではなく、入っている具にも地域差があるので、旅行の際はその地域に合わせた名前で注文し、どんなものが入っているのか分析してみるのも面白いかもしれません。
<近藤/TSURINEWS・サカナ研究所>