今季のアジは小さい!もうたまらないくらい小さい。大阪湾奥のアングラーは、みな同じような印象を抱いているのではないだろうか?私もあっちこっちでアジを釣り歩いたが、ろくなサイズがいない。ほぼ10cm級。なぜこんなに小さいのか、考えてみよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
今年はアンダー10cmばかり
この夏から、豆アジがあらわれた。筆者がはじめて釣ったのは、泉南の漁港だったと記憶している。8月くらいから常夜灯下に群れが入った。春に産卵された、いわゆる新子なのだろうか?
これくらい小さい時期は一ヵ月くらいある。しかしアジは回遊魚で、常にパワーをチャージしておくため、比較的よく食べ、大きくなるのも早いのだ。だから10cm級が釣れていたら、「今はこれでもそのうち大きくなるさ」と楽観できるのである。
しかしこれが、どういうわけか11月現在になっても、10cm級なのだ。よくて……12cmとか。まだこの豆々アジの最初期よりは釣りやすくなったかな、みたいな。
いったいなぜこんなにアジが小さすぎるのだろう。うーん、いくつか仮説はあるのだが。
サバに優先的にエサをとられている
仮説、その1。サバだ。今年の大阪湾周りでは、7月くらいから中アジが回っていて、爆発モードではないのだが、それなりに密度がある。そして夜も常夜灯下から離れない。ちょっとヘッドライトを向けてやると、独特の青いムラのある背中が群れて見えたりする。
筆者がもっとも可能性が高いと思っているのが、このサバたちによる、「エサの横取り」である。サバはベイトフィッシュもそうだが、何よりプランクトンをめちゃめちゃ食う。今年はアジングをしていると、この時期にしてはいつもよりも大きめのサバが食ってきたりするので、こいつらがプランクトンを食ってしまうせいで、アジが食糧不足に陥り、大きくならないのだと私は見ている。
タチウオ、イカに食われている
仮説その2。タチウオ、イカにより、アジが食われているという状況だ。
泉南ではこの8月からタチウオの反応があった。イカもその時期、かなり釣れまくっていたようだ。こいつらのベイトは、他でもないアジである。アジはいろんな魚のベイトフィッシュとなるので、このへんは仕方ない部分がある。どちらかといえば、多くのアングラーにとっては冬になるまではタチウオ、イカが反応してくれる方が嬉しいだろうから、アジを追ってこれらの魚が入ってくれている方がいいに違いない。
かく言う私も、今年はなかなかタチウオワインドを楽しんだのである……。
湾奥では、謎
さて、湾奥のちっこすぎるアジの謎。こいつら、レンジもつかみにくくて一時期、もっとも釣れにくかったのだが、最近はいっそう群れが薄くなったように思える。抜ける要素はないのと思うので、何かのベイトになっているのだろう。青物が初秋の早朝には入っていたらしいので、そこでやられたアジも多いはずだ。しかし、だからといって目減りする魚ではないと思うのだけれど、アジって。
ちなみに先日隣り合ったタチウオのウキ師さんに訊いてみると、「アジのな、ちっこいの釣れたらええで。あれにタチついてるからな」ということである。へえ、湾奥にももうタチウオきてるんだ。というのも、近年、岬町より北にはあまりタチウオは入らなかった。大阪南港など壊滅的だったのだ。それが今年は違うみたいで、そのへんも影響あり?