秋の禁漁から約半年。待ち焦がれた川開きだ。そこで、ビギナーの諸兄に向けて本流釣りの初歩を分かりやすく書いてみた。ご一読を願いたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・冨田真規)
放流事業への理解
既述のとおり、成魚放流から撤退する漁協が増加している。カワウによる被害、放流日のみのにぎわい、成魚調達にかかるコストの増大。理由はさまざまだが、われわれ本流大物嗜好(しこう)の釣り師には大変残念なことである。
発眼卵や稚魚放流のみがなされる河川で釣れるアマゴは確かに美しいのだが、その数はコッパサイズを超えた途端に激減、塩焼きサイズはもう珍しく、尺オーバーとなると極端に少なくなるのが現状だ。
これは、天敵の鳥たちばかりでなく、他種や同種の魚類による生存競争の厳しさに加え、今や年中行事と言えるほど増えたゲリラ豪雨災害による流失も大きな影を落としていると推測できる。
やれ尺物を釣った、大アマゴを仕留めたと、週刊つりニュース紙面に散々書かせてもらった私も、その実、大半の釣果は河川を管理する漁協による成魚放流事業に裏打ちされたものであったことを今さらながら思い知らされたのが昨今である。放流時には少々尾ビレが小さくても、半年もすれば立派な野性が蘇る。顔も猛々しく成長し、どこから見ても破綻のない素晴らしい個体に変身する。われわれが渇望するのはそんな大アマゴだ。
これから長ザオを手にする諸兄のためにも、これらの渓魚を提供してくれる素晴らしい放流事業を漁協各組には期待したい。われわれ本流師もこれらの事業を応援し、次なる世代も同様に渓流の宝石に感激できるような未来を守っていこう。
読者諸兄の今シーズンが素晴らしいものであることを祈念している。
<週刊つりニュース中部版 APC・冨田真規/TSURINEWS編>