近年、少しずつ生息域を拡大している「ティラピア」。原産地がアフリカや中近東などの同魚が日本でも増殖中です。今回は「ティラピアは何しに日本へ?」をお届けします。
(アイキャッチ画像出展:Pixabay)
日本での生息域
ティラピアは現在、少しずつ日本国内での生息域を拡大しています。
すでに沖縄諸島の河川や湖沼では、当たり前のように繁殖しており、見れば一目でティラピアだとわかるほどに増殖しています。
また本州だと三重県や愛知県などでも確認されています。
いずれも生活温排水が流れこむような場所で、前述のとおり一年中水温が10度を下回らないような場所です。また関東エリアでも近年では神奈川県の相模川でも確認されており、少しずつ生息域を拡大させているのは明らかです。
現在は「要注意外来生物」
ティラピア類は適応力が高いため、水温などの条件さえパスすれば問題なく繁殖が行えてしまいます。
しかも雑食性の為、生態系にとってかなりの脅威となっています。また、前項で少し触れましたが、ティラピアはマウスブリーディングという方法を用いて卵を保護するため、外敵から卵が食べられにくく、他のサカナよりも繁殖能力が高いです。
こういった生態系への影響を鑑みて、ナイルティラピアとカワスズメは外来生物法の要注意外来生物に指定されています。むやみな放流は日本の生態系を脅かしかねないので、絶対にしないようにしてください。
忍び寄る脅威
ブラックバスやブルーギルなどと同じようにティラピアも日本の生態系を脅かす存在になりつつあります。
しかし、日本の冬はティラピアにはかなり厳しく、まだ本州では生息域はそこまで広がっていません。
とはいえ、温泉地域などでは目撃情報が少しずつ増えており、ゆっくりではありますが、確実にテリトリーを増やしていることは明らかです。地球温暖化が進めば、それに伴い水温も上がるため、ティラピアの生息可能域も拡大していくかもしれません。
<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>