先日、帰港中の遊漁船が防波堤に衝突する事故が起きました。できれば起きてほしくない事故ですが、船の事故処理の流れが自動車とは全く異なることを皆さんはご存じですか?今回は、船舶と車の免許の違いを比較しながら紹介していきます。
(アイキャッチ画像出展:PhotoAC)
遊漁船含む3件の船舶事故事例
2020年2月16日(日)、茨城県鹿島新港にある第27桜井丸が帰港中に防波堤へ衝突。この事故によって、船長や釣り人ら8名が骨折や打撲などのケガをしました。また、船体もミヨシ右舷側を大きく損傷しています。
2019年3月27日(水)、東京都・足立区付近の荒川で屋形船の第十八濱田丸が船の夜間営業に向けて調理準備中に、火を消し忘れたまま休憩。それが原因で火災が発生し、船が全焼しました。
2018年10月15日(月)、横浜市鶴見区の大黒ふ頭近辺で第二十二吉久丸が炎上。乗組員と釣り人がやけどなどを負い、船体が全焼しました。原因は機関室付近からの出火とのことです。
このように、自動車の事故ほど多くはありませんが、実は海上(船)でも頻繁に事故が発生しています。
事後の処理として、自動車の場合は免許の点数が減点されたり、違反金が課されたりしますが、船の場合はどうなるのでしょうか。今回は、船舶に関係する資格や免許、また違反した場合の罰則等を紹介します。
船舶免許の概要
海で必要な小型船舶免許には1級、2級、小型特殊に分かれ、20t以上の船は海技士という異なる資格が必要になります。今回は一般的な小型船舶免許について触れていきます。
1級小型船舶
操縦できる船:20t未満または特定の条件を満たす全長24m未満
航行区域:制限無し
取得可能年齢:満18歳以上(満17歳9か月より受験可能)
2級小型船舶
操縦できる船:20t未満または特定の条件を満たす全長24m未満
航行区域:平水区域および海岸から5海里(約9km)以内
取得可能年齢:満16歳以上(満15歳9か月より受験可能)
特殊小型船舶
操縦できる船:特殊小型船舶(水上オートバイ)
航行区域:制限なし
取得可能年齢:満16歳以上(満15歳9か月より受験可能)
注意事項
水上オートバイの場合は、海岸から沖合2海里(約3.7km)以内でなおかつ船を昇降できるところから半径15海里以内の移動など、船自体に制限が掛かっている場合があります。そういった場合は、免許ではなく船体に掛かっている規制に従います。
1級を所持していても、外洋に出る場合は機関士など海技士有資格者が乗船しなければならないなど、規則がいくつもあります。
その他の関連資格
遊漁船船長になる場合は別で下記の資格が必要になっています。
遊漁船業務主任者
遊漁船業務主任者は、天気や海況の判断、漁場のルール周知、遊漁船利用者の安全確保を担うなどの業務管理を行う責任者。各都道府県で、定期的に開催されている講習にて取得することができます。
小型船舶操縦士特定操縦免許
釣り人を乗せるために必要な資格で、車でいうとタクシーなどの運転に必要な第二種運転免許に近いものです。
ほかには、他船との連絡に使われる無線を使用する場合には、通称「二海特」と呼ばれる第二海上特殊無線技士という資格を持っている場合がほとんどです。こちらは講習後に試験を受けて取得することができます。船体整備や港湾設備関連をするときに潜水士を持っていると便利なときもあります。
法律について
車の場合は、お馴染みの道路交通法が適用されることがほとんどです。
一報、船の場合は船舶職員及び小型船舶操縦者法など、一般生活ではあまり耳にする事のない特殊な法律が適用されます。