プロが教える「おいしい旬魚」の見分け方:節分にかかせない『イワシ』

プロが教える「おいしい旬魚」の見分け方:節分にかかせない『イワシ』

最近は恵方巻の台頭でいろいろな海鮮の需要が増えているようだが、昔から節分の魚といえばイワシと相場は決まっている。今回は、おいしいイワシの見分け方を、奈良県中央卸売市場の丸中水産株式会社勤務の著者が紹介する。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・有吉紀朗)

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節分イワシ

そろそろ節分。今年は、大量の恵方巻廃棄が問題にならないことを祈っている。

プロが教える「おいしい旬魚」の見分け方:節分にかかせない『イワシ』節分といえば恵方巻?(提供:WEBライター・有吉紀朗)

今年の恵方は西南西。釣りや船の世界ではWSW(ウェッスサーウェス)と言ったほうがスマートに聞こえる。恵方というのは、その年の幸せをつかさどる「歳徳神(としとくじん)」がいる方角とされており、 縁起がいい方角はその年によってかわるらしい。

恵方巻は恵方を向いて願いごとを想いながら黙って丸かじりするのだが、私はこのルールに何度も逆らってしまっているので、魚が釣れないのはこの影響かもしれない。ただし、この恵方巻はバレンタインと同じように企業が仕掛けたPRなので、ノセられて食べられることなく廃棄される水産物はいい迷惑である。

同じ節分でも節分イワシは歴史がある。「土佐日記」にボラの頭を柊(ひいらぎ)に刺していた記述があるくらい古い。イワシを焼く匂いと柊の棘で邪気を払うという。

プロが教える「おいしい旬魚」の見分け方:節分にかかせない『イワシ』生イワシ(提供:WEBライター・有吉紀朗)

塩イワシの目利き

東日本でこのような習慣があるかしらないが、焼くイワシは千葉産の塩イワシが多い。続いて北海道、宮城産。レジームシフトやアリューシャン低気圧の強弱で多獲制浮魚は好不漁の差が激しいが、主な産地は北日本。塩イワシは冷凍なので、味や鮮度は産地によってはかわらない。またアメリカから輸入のカリフォルニアマイワシも国産以上に脂が乗っている。

問題はスーパーの販売方法だ。焼く直前まで半解凍のものがおいしい。完全に解凍されているイワシはフィレにしてタチウオテンヤに巻いたり、コマセに使ったりする方が向いていると思う時がある。また前年売れ残りのものや保管状態の悪いものは、脂がまわり黄色くなっている。

生イワシの目利き

鮮魚での入荷もあるが、この時期食べるならウルメイワシの方がおいしい。刺し身でもフライでもおいしい。なかなか波止からは釣れない時期だが、紀伊水道のラングイや白浜沖の黒瀬の船釣りでは釣れる。いずれも寒サバ狙いで釣れたのだが、サバよりおいしかったほどだ。

一方、マイワシの鮮度のいいものは、ツミレ汁もおいしいし、ブツ切りにして鍋も寒の時期ならでは。ポン酢との相性もいい。

どのイワシにしてみても鮮度のポイントは体の光沢で、ウロコが残っていればなおいい。買うのを避けるのは目が赤く、お腹が割れているものだ。普通このような状態になる前に頭取(頭をとってお腹を出す下処理)となっている。

プロが教える「おいしい旬魚」の見分け方:節分にかかせない『イワシ』このようなイワシは避けたい(提供:WEBライター・有吉紀朗)

ウロコの有無が重要

とにかくイワシ類はウロコがはがれやすい。落とし込み釣りではハリに掛かったイワシがまき散らすウロコが本命を誘うし、ハリを外そうと触っただけでもポロポロと取れてしまう。言いかえればウロコの残っているイワシが新鮮ということになる。

普段、イワシを食べない人もこの節分の時期だけは食べるという人も多い。青魚に多く含まれるDHAやEPAが体にいいのはもはや周知のとおり。美肌作りや貧血予防のビタミンB群の含有も多い。

<有吉紀朗/TSURINEWS・WEBライター>