初夏の豆アジ釣りからロングランで楽しめていた大阪湾アジングシーズンもいよいよ佳境。大阪市内の釣り解放区でも20cmクラスに成長したアジに、時折25cm級の大型が釣れるというので、早速狙ってきた。一瞬の時合い逃さず良型を手中にした釣行をお届けしよう。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・中西)
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大人気のアジング
ここ5年ほどですっかり定着し、今最も注目を集めているのがアジングだろう。1g前後のジグヘッドに2inch前後のワームを刺し、沖へキャスト。リトリーブとフォール、軽いシェイク、ジャークなどを織り交ぜてアジにアピールし、積極的にアタリをとっていく釣りを指す。
関西圏でも、少ない荷物で手軽に釣れる、しかもゲーム性が抜群とあって、人気沸騰中の釣りだ。エサ不要で釣り場に直行でき、付き場や回遊さえとらえられれば釣果も有望、電車でふらっとおかず釣りなんてこともできてしまうのだ。
大阪湾アジングシーズン
そんなわけで毎年サビキ釣りでアジが釣れだすと、「豆アジング」などと呼ばれる小アジ狙いのアジングが始まり、季節が進むごとに型もよくなって、掛ける釣りから軽快な引きを楽しむ釣りに移行していく。
そして秋も深まる11月後半から真冬の1月の終わりにかけて面白いのが、大阪湾奥の大型狙いだ。このクラスになるとアジも相当な引きをみせ、繊細なアジングタックルでのやり取りは痛快そのもの。大型の回遊する一瞬の時合いをものにできるかどうかが勝負の分かれ目となる。ちなみに、このサイズになると脂もよく乗っており、食味も最高!
カモメ大橋の当日の状況
12月16日の夕方、一瞬の時合いをとらえたご褒美ともいえるこの大型を狙って、大阪・南港のカモメ大橋へ向かった。
この日は大潮後の中潮3日目。晴天で風もなく、釣り場から見える発電所の煙は真上に上がっていた。細イト軽量ジグヘッドで釣るアジングには最高のコンディションに恵まれたといえる。
16時に到着すると、今回ご一緒するオリムピックの藤原さんと髙島さんはすでにサオを出しており、15cmほどのアジを10匹ほどキープしていた。「ちょっと前に着いて始めていました。食いは結構いいです」と藤原さん。話をしながらすぐに1匹を掛け、抜き上げる。
夕方の入れ食いパターン
軽く10mほどキャストして、少しフリーで沈めてからベールを戻し、チョンチョンとサオ先を15~20cm動かすアクションを入れ、ゆっくりリトリーブ。これを繰り返していると、フワッとラインがふけたり、ククッとティップが引き込まれるようなアタリが出る。
軽くアワセを入れると、ロッドがきれいに曲がり込む。少しドラグを引きだしながら海面を割ったのは、17cmくらいのアジ。「ちょっとだけサイズアップです」と髙島さん。
日は徐々に陰りつつある時間帯。ちょうど背後の波止が沈む太陽を遮り、数m沖に影を作っていて、その前後でよくアタリが出るようだ。型こそ20cmに届かないが、ほぼ入れ食い。アジの活性は相当高いようで、時折水面に波紋を出して何かを捕食している。
当日のタックル
この日の藤原さんのタックルは、ロッドが「コルト UX 572 UL-HS」、リールはステラC2000SHG、ラインはエステルの0.3号、リーダーは銀鱗0.8号、ジグヘッドがサイコロヘッドミニ0.6~1g、ワームはアジールのクリア、チャートグリーン。
藤原さんのロッドは、エントリーグレードでありながらハイパフォーマンスなのが売りの来春発売予定のニューモデル。「アジが釣れる」サオではなく、「アジを釣って楽しい」サオを目指したというだけあり、いわゆるエントリーモデルにありがちなダルさやラフな操作を許容する懐の深さは切り捨てられている。
ハイグレードモデルの設計思想をそのままエントリーグレードに落とし込んだというだけあり、決して初心者向けのサオとはいえないが、アジングの楽しさ、奥深さを知るためにも、初心者にこそ使ってほしいサオに仕上がっているそうだ。
夕マヅメに良型27cmヒット!
小アジの入れ食いを楽しんでいるうちに日は沈み、いわゆる夕マヅメに突入。先ほどまでたまに出ていた波紋が消えたと思ったら、藤原さんが不意にサオをあおった。その瞬間、ギーッとドラグが滑り、サオが大きく曲がり込む。
ヒットしたのは、今までとは明らかに違うサイズだ。時折強烈に引き込みドラグを滑らせる魚を慎重に寄せてくると、すぐそこの海面に銀色の魚体が翻り、再びドラグが悲鳴を上げる。エステル0.3号、リーダー0.8号の細イトでのスリリングなやり取りは、見ていても興奮する!
激しい攻防の末、ついに姿を見せたのは、狙っていた良型のアジ!27cmのよく肥えた個体だった。
今が時合いとすぐさま次の1匹を狙う髙島さん。が、時合いはほんの一瞬だったようで、その後は小アジのヒットもまばらになり、おいしい時間は終了。サビキ釣りのようにまきエサでアジの群れを足止めできないアジングならではのシビアさである。
日が暮れると表層で小アジ
日が暮れてからは外向きに移動。しばらくタチウオ狙いの釣り人の横でサオを振ったが、魚っ気が全くなく、早々に断念。再び内向きで次の回遊を待つ。
満潮の20時30分に向け潮が高くなり、港内には小さな浮遊物が漂い始めた。そして、それを狙って魚がライズする。隣に入った釣り人がすぐに表層で掛けるのを見て藤原さんも表層狙いにシフト。リグが着水してすぐにリトリーブをはじめ、ほどなくサオをあおった。「ラインのテンションがわずかに抜けるようなアタリでした」と抜き上げたのは、明るいうちに頻繁にヒットした18cmまでのアジだった。
この後、港内の明かりの落ちる場所に移動して大アジを狙ったが、再びドラグを滑らすような大物は出ず。アベレージサイズを数匹追加し、21時過ぎに納竿となった。
「トラブルレス」が秘訣
結局、狙いの大型は1匹だけだったが、大阪市内の電車でも行けるような場所で仕留めるには意外過ぎる1匹の登場に、20cm以下の数釣りと、納得の釣行となった。
この日の勝因を藤原さんに聞いてみたところ、それはずばり「トラブルレスなロッド」のおかげとのことであった。
ジグの動きが分かる感度を備えていなければ、リグが今どこにあるのかが分からず根掛かりさせてしまう。また、1g以下のリグと超細イトをうまくさばけなければ、ライントラブルに陥りやすい。そして、魚を掛けてからもしっかり曲がらなければ、穂先が暴れてバラしたり、最悪ラインが切れてしまう。
いいアジングロッドというのは、これらすべての要件を高水準で満たしている。が、当然その分高額になりがちだ。コルトUXは、「そこをなんとか」を実現したシリーズ。藤原さんは一日を振り返って、「問題は価格じゃないんです。はっきり言って性能破壊ですよ、これは」と締めくくった。
大型が釣れる、釣れないは、一瞬しかない釣れるタイミングに、仕掛けが魚の前にあるか、そうでないかしかなく、トラブルなく手返しできるロッドというのは大きなアドバンテージになるということだ。
アジング入門に最適の時期!
大阪湾のアジングは入門に最高の時期。豆アジングのようなシビアさはなく、群れさえ見つけられれば思いのほかイージーに釣れるので、ぜひ挑戦してほしい。うまく回遊に当たれば25cm超の大型も夢ではない!
なお、今回藤原さんが使っていたUXの発売は来春。それまで我慢できないという方のために、髙島さんのタックルも紹介しておきたい。ロッドが「ヌーボーコルトプロトタイプ612UL‐HS」、リールはステラ1000SSSDH、ラインはエステル0.2号、リーダーはジョイントライン0.8号、ジグヘッドがサイコロヘッドSOKU1g前後、ジグヘッドはアジボーンのクリア赤ラメをメインに使用。
こちらはハイグレードモデルで値段も張るが、感度も操作性もさらに突き詰められたスペック。入門用のアジングロッドで物足りなさを感じた方にお勧めのモデルとなっている。
コルト UX全モデルを紹介
最後に、この日藤原さんが使用していたコルト UXの全5モデルを紹介する。発売はいずれも2020年の4月予定だ。
20GCORUS-572UL-HS
シリーズ中最軽量、最短レングスモデルで、漁港内、常夜灯周りをより軽量なリグで探るのに適したモデル。先径0.6㎜の高弾性ソリッドを搭載し、水中での繊細なリグ操作が可能。
アクション=RF
全長=1.70m
先径=0.6mm
元径=7.8mm
仕舞寸法=88cm
継数=2本
適合ルアー=0~3g
適合ライン=MAX2lb
カーボン=97%
¥12100
20GCORUS-612L-HS
アジングにおける理想のアクションで、感度、バランス、操作性、どれをとっても非常に優秀なスペックの一本。ジグヘッド単体の使用を目的とした設計で、積極的にアジを掛けにいく攻めの釣りに最適。
アクション=X.F.
全長=1.86m
先径=0.6mm
元径=8.2mm
仕舞寸法=95.5cm
継数=2本
適合ルアー=0.3~4g
適合ライン=MAX3lb
カーボン=99.9%
¥12300
20GCORUS-642L-HS
長すぎず短すぎないレングスで、シリーズ中最もオールラウンドに使えるモデル。ジグヘッドリグはもちろん、キャロやスプリットなどにも幅広く対応。
アクション=X.F.
全長=1.93m
先径=0.6mm
元径=8.5mm
仕舞寸法=99.2cm
継数=2本
適合ルアー=0.5~5g
適合ライン=MAX3lb
カーボン=98.7%
¥12500
20GCORUS-6102L-HS
ジグ単専用ロッドに対して少し太めの先径0.7㎜の高弾性ソリッドティップを搭載。ロングキャストが効き広範囲を探れるジャンルのロッドの中では非常に使い勝手がいい。少し重量のあるジグヘッド単体、キャロやスプリットでなければ届かないディープエリアでのリフト&フォールを得意とする。
アクション=X.F.
全長=2.08m
先径=0.7mm
元径=8.1mm
仕舞寸法=106.9cm
継数=2本
適合ルアー=0.5~8g
適合ライン=MAX4lb
カーボン=99.9%
¥12700
20GCORUS-742L-T
シリーズ中最もパワーのあるモデルで、足場の高い場所や地磯でのロングキャスト専用ロッド。使い方はキャロ、スプリット、メタルジグ、プラグの大遠投。PEラインとの組み合わせがおすすめ。
アクション=F
全長=2.24m
先径=1.1mm
元径=9.0mm
仕舞寸法=114.5cm
継数=2本
適合ルアー=0.8~10g
適合ライン=MAX4lb
カーボン=96.9%
¥13200
<中西/TSURINEWS関西編集部>
南港カモメ大橋