若狭グジ、丹後グジと言えばアマダイの地方ブランド。夏場の釣りでは水深120m前後の深場を中心とするが、冬場にはグッと浅い場所で食いだし、水深40~80mエリアとなる。キホンを紹介しよう。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
冬の若狭湾内でアマダイ釣り
通常は出船する宮津・養老大島漁港のすぐ目の前の漁場から始め、海況に応じて沖へ出ての釣りとなる。冬場の時期は根魚であるアコウやガシラ、ウッカリカサゴも案外浅い場所で釣れるので、冬場に外洋が荒れていても湾内の近場なら出船できる日が多い。
通常は根魚狙いでも出船する宮津丸だが、12月からは人気のアマダイを専門に狙っての出船が始まっている。時間は約4時間のショート便だが、ゆっくり出かけて高級魚アマダイに挑戦しよう、と言うものだ。
宮津丸の岸本船長によると、11月中にも合間でアマダイを狙っていて、すでに40cmオーバーを含めてまずまず釣れていたそうだ。これから水温が下がってくると、まずます楽しめるとの事で、関西圏で楽しみなターゲットがまた一つ増えた。
アマダイ釣りのタックル
さて、アマダイの釣り方は、大きく分けると2タイプある。1つは胴突き仕掛け、もう一つはテンビン仕掛けだ。いずれも竿、リールは同じもので対応できる。竿は、船用でオモリ負荷30~50号、取り回しのしやすい2m前後がオススメ。これにリールは、小型電動か手巻きリールでもOK。道糸はPEライン2~3号にリーダーはフロロカーボンライン5号前後がオススメだが、岸本船長によるとあまり道具立ては気にしなくてもOKとの事。
胴突き仕掛けの釣り
胴突き仕掛けは基本、2本バリを使用する。幹糸、エダスともに5~6号と太めを使う。太いハリスでも食いに大差はないので、糸絡みなどのトラブルを少しでも回避するために太めを使用する。
ハリスの長さは20~30cm、ハリはマダイバリ10号前後か、チヌバリ5~6号などやや大きめのハリを使う。
特徴的な球形オモリ
この釣りで特徴的なのがオモリ。この地方で「ぼっこ釣り」と呼ばれる、底を球形のオモリでドンドンたたいて、砂煙を上げて魚を寄せる釣法があるのだが、この釣りの対象魚は「釣れるもの全部」と聞いた事がある。豊富なターゲットの中にアマダイも含まれていて、球形のオモリが親しまれている。
阪神間ではなかなか見られない形状だが、宮津エリアの釣具店に行くと専用のオモリが売られている。
釣り方はオモリを海底に着けたら、そこからオモリで底をたたくようにドンドンと竿で揺する。時々、大きく上げてはまた落として底をたたくようにしながら船を流す。
アマダイは、特に上から落ちてくるエサに反応するので、落とした瞬間にヒットする事も多く、案外素早いので、大きくたたいている途中でもよくいきなり食ってくる事がある。逆に、仕掛けを止めてしまうとレンコダイなどのゲストが多くなる傾向にある。「こんなに激しく、動かして魚が食べるヒマがあるのかな」と言うくらい動かしてみよう。
テンビン仕掛けでの釣り
テンビン仕掛けは全長1ヒロまでの短い2本バリ仕掛けだ。ハリスは5~6号でハリも胴突き仕掛けと同様でOK。テンビンの場合は、ぼっこ釣り用のオモリでも良いし、普通の六角オモリなどでも良い。テンビンは長さが30cm程度のものが扱いやすい。
テンビンでの釣り方は、胴突きの「動」に比べてどちらかというと「静」の釣り。テンビンが着底したら、少し浮かせる。上のハリが海底から浮くかどうかと言うくらいにタナを調整して、そのまま船の流れに任せて、仕掛けを引きずる感じ。こちらもアマダイの場合は、アタリ=食い込みの場合が多く、いきなり竿が舞い込む事が多い。
代表的なエサは2種類
エサとしてはオキアミとホタルイカが代表的。ほかにアオイソメなどの虫エサにも実績がある。多く使われるのはオキアミで、宮津丸でも定番のエサなので乗船代に含まれている。オキアミは1匹掛け、もしくは抱き合わせで掛けるが、オキアミの場合はアマダイが一気に吸い込んで飲み込んでしまう事が多いらしい。なので、アタリがあれば即掛けだ。
テンビンでホタルイカを使う場合は、ほんの一呼吸だけアワセを遅らせる方が食い込みが良い場合がある。いずれにしても、活発なアマダイがエサを見つければ反応は早いので、ジッと待っている釣りではない。また、アマダイは巣穴を掘って潜んでいる事も多く、巣穴を作りやすい場所にはコロニーが形成されている場所もあるので、1尾釣れれば数尾が続く事があるので参考に。
出船時の注意点
現在は養老大島から出船して、経ヶ岬へ向かう途中のエリアでの実績が高い。年によっては港前でも食う事があるのだが、今年は少しポイントが遠い。そのため、あまり荒れると出られないので、そんな時は近場での根魚狙いにシフトする事もある。
冬場の日本海だけに、荒天の日が多いのは当然だ。それでも案外経ヶ岬の陰に当たる近場なので、出られる日は十分にある。道路凍結の心配がないゆっくりの出発で、超高級魚アマダイを狙いに行ってみてはいかがだろう。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>