魚食離れが進む日本において、どうしたら魚介類の摂取量が増えるかという問題は、国だけではなく、企業にとっても大きな課題かもしれません。
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各所の取り組みを紹介
上記のような背景から、魚離れをしている現状に対して、国や企業は様々な取り組みをしています。そのいくつかをご紹介していきます。
国の取り組み
水産資源の適切な保存、管理、水産物の安定供給の確保などを任務とする水産庁は、「stop”魚離れ”」のプロジェクトを推進しています。このプロジェクトの一環として成24年から開始されたのが【ファストフィッシュ】という取り組みです。
水産庁は「ファストフィッシュ委員会」を設置し、ファストフィッシュの定義に合致する商品を選定し、それらの商品を積極的に普及させようとしています。
「ファストフィッシュの定義」
・「手軽」:料理時間、買い物時間の短縮が想定されるもの
・「気軽」:日常の食生活において、反復継続して購入することが可能な価格帯であるもの
・その他:新規需要の開拓の可能性があり、品質・食味等の面で独自性があるもの
近年では、2016年度から通常のファストフィッシュに加え、キッズファストフィッシュ(子供が好み、家族の食卓に並ぶ商品や食べ方等)、ふるさとファストフィッシュ(国産魚、地方独特の魚を利用した商品や食べ方等)の3カテゴリーに分けらるようになりました。
現在では3,316の商品が選定され、選定商品には魚のイラストをあしらった「Fast Fish」ロゴマークの使用が認められています。
全国のスーパーなどで販売されているため、魚を手早く食べたい時はこのマークの商品を選んでみて下さい。
企業の取り組み
いくつかの水産企業は年間を通して数回、地域の小学校などに赴いて、食育を育む機会を設けています。
こういった企画では、伝統的な食文化や魚食・水産業・栄養価に関する情報、おいしい食べ方などの価値を伝えることを目的にしています。
自分の生まれた土地の美味しいサカナや魚介類などの名産品を知らずに育っていく子供も少なくありません。
こういった地味な活動を続けていくことで、子供の魚への苦手意識をなくし、サカナを好きになっていく、水産業に興味を持つ機会を増やしていく狙いがあります。
個人でできることは
サカナが苦手にもいろいろな理由があり、「調理が苦手」という点においては「ファストフィッシュ」の導入などにより、以前より圧倒的にハードルが下がっているといえます。
また、最近では、生ごみを自宅で乾燥させることができる家電も開発され、においの問題も解決しやすくなりました。
そもそもサカナが嫌いという人にサカナを無理やりに食べさせることはなかなかできませんが、そういう方には一度、漁師町などで水揚げ直後の新鮮なサカナを食べてみて欲しいです。
もし、「なんとなく」で食わず嫌いをしているのであれば、絶対にサカナが好きになると思います。
日本人の魚離れが止まるのもあと少しかもしれません。
<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>